◆「寝る時間を毎日固定」で享受できるメリット
就寝前の入浴や、筋トレやストレッチといった運動についても気になるところだ。飯島院長いわく、どちらも基本的には睡眠の質向上にプラスなのだが、熱めの入浴や激しい運動を就寝直前に行ってしまうと、交感神経を刺激して逆効果にもなりえるそうだ。「タイミングに気をつけてみましょう。入浴であれば就寝60〜90分前に38〜40℃程度のぬるめの湯に入ると、身体の深部体温が一度上がってから後ゆるやかに下がり、眠りに入りやすくなります。運動は軽いストレッチやヨガにとどめ、強度の高い運動は日中〜夕方に回すのが無難です」
これらに加えて、寝る時間をあらかじめ決めておくことも飯島院長は推奨している。
「起きる時間は仕事や学校で固定されがちですが、寝る時間なら自分で調整できる余地は大きいですよね。例えば『23時に寝る』と決めれば、逆算で『22時までに入浴』『21時までに夕食』と行動を整理しやすくなります。寝る時間を固定すると、睡眠に影響する生活習慣を前倒しで片づけやすくなりますよ」
◆スマホは「光」と「中身」が睡眠の大敵
夜は日中の仕事が一段落した後の余暇時間でもある。趣味に費やしたり、SNSで友人らと交流したりする人も多いが、この時の注意点はどのようなものか。「メールやSNS、チャットツールを寝る直前まで見続けたり、ゲームや動画を『あと少しだけ』と続けたりするのは推奨できません。脳が仕事中(興奮)モードのままになり、寝つきが悪くなってしまいます。特に悪影響なのは、電話での口論やSNSでの不快なやりとり。怒りや不安によって心拍数や覚醒度が上がり、布団に入っても頭が休まりません。寝る前は『感情をかき回す場』から距離を置きましょう」
とりわけ飯島院長が睡眠への悪影響を指摘しているのが、就寝前のスマートフォン利用だ。しかも、その理由は一つではない。
「まずは画面の光そのもの。スマホの明るい光は体内時計やメラトニン分泌に影響し、寝つきを悪くすることが実際に確認されています。次に、スマホで見ている内容による「脳の興奮」も影響大です。SNS・ショート動画・ゲーム・ニュースの連続閲覧は、次々に新しい刺激が入ってきて脳の休まる暇がありません。SNSやゲームは『次に何か面白いものが来るかも』という予測不能さで関心を惹くので、止めたいのに止められない状態となり、結果として就寝時刻自体が遅くなってしまいます」
つまり、スマホは「光だけ」でも「内容だけ」でもなく、両方が重なって睡眠の時間と質を大きく削ってしまうのだ。ついダラダラとスマホにかじり付く状況を避けるために、どのような工夫があるだろうか。
「実践的なコツとして、まずは『寝室にスマホを持ち込まない』ことです。充電はリビングで行い、目覚ましはアプリでなく別の時計を使い、物理的に距離を置くのが最も有効でしょう。次に『やめる時刻を先に決める』ことです。アプリの利用制限や就寝1時間前のアラームを活用し、終わりの合図を作ると続けやすくなります」
このほか、飯島院長は「終わりのタイミングがあり刺激の少ないもの(電子書籍、音声コンテンツ、穏やかな音楽など)を楽しむ」「画面の明るさを落とし、ナイトモードを使う」といったことも有効だと話した。寝る1時間前からSNSの通知を切るだけでも、少なからず効果は表れるそうなので、気になるなら試して損はない。

