◆早起きが三文の「損」になってしまうケースも?
記事冒頭の「春眠暁を覚えず」以外にも、「寝る子は育つ」など睡眠について触れたことわざや故事は多い。その一つで有名なものが「早起きは三文の徳」だ。早起きすれば多少は良いことがあるはずとの例えだが、飯島院長が言うには、早起きが必ずしも健康や生活習慣につながるとは限らないようだ。「人には生まれつき『朝型』『夜型』『中間型』という遺伝的な体内時計の個人差、いわゆる『クロノタイプ』があります。例えば、夜型の人が無理に朝型生活を続けると、慢性的な睡眠不足や集中力低下につながりかねません。単なる根性論で『朝が苦手なのは怠けだ!』などと決めつけず、自分のクロノタイプに合わせることが大切です」
また、「平日は早起き、休日は何時間も寝坊」といった生活を繰り返すと、平日と休日とで睡眠リズムがズレてしまい、毎週末ごとに時差ぼけのような症状や、月曜朝の不調やだるさが発生する。このリズムのズレは「ソーシャル・ジェットラグ」と呼ばれており、これも睡眠不調の原因を探るうえで重要だと飯島院長は語っている。
「クロノタイプやソーシャル・ジェットラグを探るうえで比較的簡単なのは、休みの日に目覚ましを使わず、自然に起きた時刻を数日記録してみることです。とりわけ連休前半は睡眠不足の“返済”で長寝することがあるので、後半の数日を見るほうが自分本来のリズムをつかみやすくなります。Apple Watchなどのウェアラブルデバイスも、自分の傾向を知る道具として有効ですね」
◆二度寝は目覚めを悪くする
ただし、これらの自己診断は医療用検査ほど正確ではないので、あくまで「傾向把握」に留めた方が無難である。「この時間に寝ると翌朝が楽」「休日に寝坊しすぎた後は月曜がつらい」といった自己パターンを確かめ、「睡眠の取扱説明書」を作ってみるとよいだろう。「ちなみに、『二度寝は健康に良くない』とは時折言われますが、これは条件付きで本当です。目覚ましスヌーズを何度も繰り返して細切れに眠るパターンは目覚めを悪くしやすく、睡眠慣性(起床後の強いだるさ)を長引かせることもあるので注意しましょう。朝に何度も寝直したくなるなら、まず見直すべきは睡眠時間の確保と就寝時刻です」

