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神保町・通い続けたくなる都市の仕組み

神保町・通い続けたくなる都市の仕組み

「好き」を守る仕組みが、街の外にもある

神保町のこうした文化的密度は、いまや街の内側だけで守られているわけではない。東京文化資源会議が旗振り役の「神保町文化発信会議」には、地元名士の団体、出版文化産業振興財団(JPIC)、超党派の国会議員で構成される活字文化議連、さらに大手新聞社などが一体となって参加している。都市社会学者の吉見俊哉氏ら研究者が議論をリードし、10年計画で街の未来を設計しようとしている。

1月には、東京文化資源会議主催の「Zine & Book フェス in 神保町」が開催された。「本の街・神保町」の書籍文化と新しい出版の動きを広く一般の人にも知ってもらうためのイベントで、ZINEの販売はもちろん、子供たちが参加するワークショップや地元書店や有識者によるトークショーなどが行われ、反響を集めた。

政治・経済・学術・地域が一体となってひとつの街の文化を守ろうとする。これは東京でも稀有な取り組みであり、神保町という場所が持つ不思議な求心力の、もうひとつの証拠である。

「好き」が見つかり、深くなる。通い続けたい街の条件

テキスト、グルメ、映画、純喫茶、アパレル。この特集が辿る神保町の多面性は、互いに無関係ではない。どれもが「通う理由」を複数持つ人間を引き寄せ、街のなかで偶然の混ざり合いを起こす。古書の棚の前で立ち止まった人が、隣のミュージックバーの賑やかな音に気づく。カレーを食べた帰りに純喫茶のドアを開ける。

そして通ううちに、行きつけができる。名前を覚えてくれる店主ができる。同じものを好きな人と出会う。偶然の出会いが積み重なると、やがてその街は「スポットの地図」ではなく「会いたい人がいる場所」へと変わっていく——そこに気軽に立ち寄れること、居場所があること、それこそがこの街を「通い続けたい」理由の核心なのだと思う。神保町はまさに、好きでつながる最良の入り口なのだ。

配信元: Harumari TOKYO

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