40~50代は筋肉量や基礎代謝が低下する時期。やみくもに食事を減らすとかえって痩せにくい体を作ってしまうこともあります。これからのダイエットで必要なのは「食べて筋肉を育てる」発想。医学博士の福島忍さんに正しい食べ方と運動のコツを伺いました。
50代が「食べないダイエット」で痩せない理由
40~50代になると、若い頃と同じように食事を減らしてもなかなか体重が落ちなくなります。その理由は、年齢とともに変化する筋肉量と代謝にあります。
「私たちの体には、じっとしていても消費される基礎代謝というエネルギーがあります。基礎代謝が高いほど、何もしなくても消費されるエネルギー量が多いので、痩せやすい体ということになります」
「そして、この基礎代謝を支えているのが筋肉。筋肉量は20代後半から30歳をピークに緩やかに低下していき、50代以降で急激に減少します。筋肉量が減ると基礎代謝も下がり、同じ生活をしていても消費カロリーが少なくなってしまうのです」(福島さん)
さらに、基礎代謝が下がった状態で食事量をぐっと減らすと、体は「エネルギーが足りない」と判断し、省エネモードに入ります。すると脂肪よりも先に筋肉が分解されやすくなり、代謝も低下します。結果として、体重も体脂肪も減りにくくなり、体型だけが崩れるという悪循環に陥るのです。
「筋肉量の低下は見た目の問題だけでなく、将来的な健康にも影響します。筋肉量が減ると、立つ・歩くといった日常動作が不安定になりやすく、つまづきやすくなったり、転倒のリスクが高まると指摘されています」(福島さん)
50代からのダイエットは「食べない」ではなく、「食べて」筋肉を育て、痩せやすい体を作るのが正解なのですね。
筋肉を育て代謝を上げる、50代の正しい食べ方
筋肉量と代謝を高めるには、食事で土台を整え、運動で筋肉に刺激を与えることが大切です。
そこでまず知っておきたいのが、現在の自分の基礎代謝量。基礎代謝量は性別・年齢・身長・体重などによって一人一人異なり、その計算式にも種類があります。
「日本ではさまざまな研究での基礎代謝測定値から算出した、体重1kgあたりの基礎代謝量(kcal)の目安『基礎代謝基準値』が公表されています。これを元に計算すると、大まかな年齢別の基礎代謝量の目安を把握できます」(福島さん)
■基礎代謝量(kcal/日)=基礎代謝基準値(kcal/kg/日)×体重(kg)
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2025年版)より抜粋
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、50~64歳の女性(参照体重:54kg)の基礎代謝量の目安は1120kcal/日となります。
1日の摂取カロリーがこの数値を超えすぎないように意識しながら、筋肉の材料となるタンパク質をしっかりと取りましょう。
健康状態を維持するために必要なタンパク質量の目安は、以下の計算式で算出できます。

例えば、先ほどの50~64歳の女性の参照体重54kgで、週1回以上の運動習慣がある人なら、1日に必要なタンパク質量の目安は「54kg×1.62g=約87g」になります。
この計算式を使って、自分に必要なタンパク質の量を確認しましょう。
身近な食品に含まれる100gあたりのタンパク質量の目安
「なお、タンパク質は一度にたくさん取っても吸収されにくいため、朝や夜にドカンと食べるより、朝・昼・夜に分けて20g程度ずつ取る方が効果的に筋肉を合成できます」(福島さん)
例えば、朝食にゆで卵を1つ加える、ヨーグルトを添える…といった小さな工夫が、タンパク質の摂取量を底上げします。麺類や丼物など炭水化物中心になりやすい昼食は、うどんやそばに卵をトッピングする、冷奴を追加するなどの工夫を。パスタなら、ツナやサーモンが入ったメニューを選べばタンパク質を補いやすくなります。
夕食はタンパク質を取りやすい反面、脂質が多くなりがちなので、脂身の多い肉が続くようなら、週に1~2回はメインを魚や大豆製品に置き換えるなど調整しましょう。
「筋肉作りには、タンパク質だけでなく、代謝を助けるビタミンやミネラル、ホルモンの材料になる良質な脂質も欠かせません。ビタミンやミネラルは野菜、果物、きのこ類、海藻類などから、良質な脂質はオリーブオイルなどの植物油の他、青魚に含まれる不飽和脂肪酸からも摂取できますよ」(福島さん)
福島さんによると、筋肉作りに役立つ成分では、ミツバチ産品のローヤルゼリーも注目されているのだとか。
「美容・健康につながる栄養素を豊富に含むことで知られるローヤルゼリーは、実は幹細胞の活性化につながる身近な素材としても研究が進められており、ローヤルゼリーエキスを投与することで、筋肉の元になる『筋幹細胞』が活性化されたことがわかりました。筋肉を作る土台として役立つ可能性があります」(福島さん)

