◆本来ならば対立が生まれるはずはないが…
しかしながら、こうした構図そのものが稚拙であることは言うまでもありません。それは、アイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともか氏が言う通り。<ただ、戦争を回避・抑止する方法が人それぞれ違うだけで、ある人にとっては防衛力を高めて戦争を仕掛けたくない国にして抑止する、ただ平和を訴えるなど、多種多様な意見がある中での『戦争はしたくない』『回避したい』『抑止したい』ということなんだと思います。結果的に大多数の人は戦争は嫌なんですよね。大切な人や場所を守りたいんですよね>(3月29日 自身のXアカウント)
全くもってその通り。本来ならば対立が生まれるはずのないところに、“「戦争反対」はいかがなものか”といってツッコミを入れてくる人たちが出てくる。
◆重箱の隅をつつくような“せせこましさ”のワケ
一体なぜこのような事態になっているのでしょうか?それは、“責任を持つ大人”と自認している人たちに自信がないからなのではないでしょうか。もっとわかりやすく言うならば、「保守」的な考えを持つ人たちの本質的な弱さです。
大局において、平和や戦争反対という題目で一致しているのならば、各論での相違でいちいちチクチクと言う必要はありません。にもかかわらず、“君たちはわかってないね”とばかりに、中途半端な知識で逐一マウントを取る。
しかしながら、この反応の早さは裏を返せば神経過敏であるということです。常に「保守」的な政策に反する人たちの意見に気をもんでは、その都度訂正せずには気がすまない。
そうした落ち着きのなさが、いま「保守」的だと自認する人たちの決定的な幼さなのです。そして、それが今回の「戦争反対」に対する、重箱の隅をつつくようなせせこましさにあらわれているのです。
非常時に人間の正体が暴かれるのだとすれば、いまの「保守」と呼ばれる人たちの態度ほどわかりやすいものはないでしょう。
皮肉に気付けないほどにナイーブ。それこそが、いまの「保守」のあられもない姿なのです。
文/石黒隆之
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4

