桜満開の東京。レストランシーンにも春の芽吹きのように、新しい命が生まれている。
暖かな風を感じて心が晴れやかな日には、欲望のままに美味を楽しもう。大切な人と過ごしたい東カレ印の注目店だけを一挙にご紹介!
2025/11/25 OPEN
カウンターの中央に立つ、大将の小山智弘さんの鮮やかな包丁さばきで、艷やかで華やかな「老中金襴手盛り」が完成する
赴ある骨董が並ぶ掘りごたつのカウンター。新感覚の焼肉を堪能すれば高揚感しかない
豪奢なプレゼンテーションと確かな肉の味わいで、2022年に開店するやたちまち人気店になった名古屋『大皿焼肉 老中』が、人気の焼肉店がひしめく六本木に出現した。
『六本木 大皿焼肉 老中』に足を踏み入れると、ここが商業施設ビルの中にある店であることを忘れてしまいそうになる。
空間全体が古い日本家屋を彷彿とさせる設えである上、カウンターには古伊万里、九谷、織部など年代物の和食器が所狭しと並ぶ。
料理の提供に使われる器は骨董品が多く、空間の一角にはそれらが収められていた木箱が
骨董品や古美術のコレクターの邸宅を思わせる雰囲気が漂う異空間だ。
コースの主役を張る圧倒的な存在感を放つ「老中金襴手盛り」。直径40cmの古伊万里の大皿に、自慢の肉を大輪の花のように美しく盛る。厚みが異なる2種類の黒タン、角の立ったレバー、未真空のハラミなどオススメの6部位が(写真は2名分)
主役たる肉も、当然ながら役者がそろっている。兵庫「太田牛」、群馬「増田牛」、山形「千日和牛」など長期肥育で肉そのものの旨みが濃い銘柄をセレクト。
人気のタンやハラミは真空パックを使わない新鮮なものを、内臓類は九州の卸からと、上質な素材を追求している。
フィレ肉を滋賀『九重味噌』の白味噌に漬けた「名物 近江彦根和牛 京味噌漬け」。
コースの〆の一番人気は「老中雲丹いくら飯」。すべて「金襴手」コース(¥15,000)より
趣ある空間で、趣向を凝らした肉料理に舌鼓。特別な夜になるはずだ。
2.鮨と炭焼きの二刀流。名店出身の若き職人が自由闊達に踊る鮨劇場
『鮨せい大』@恵比寿
2025/9/1 OPEN
直線のみで構成されることの多い鮨店の空間だが、カウンターの背後にわずかに曲線をあしらうことで、印象的なワンポイントに
シンプルな中にもアクセントをきかせた空間に新世代の息吹を感じる
恵比寿ガーデンプレイスの程近く、異色のルーキーが握る鮨店が出現した。
現在29歳の北村さん
『鮨せい大』の親方・北村征大さんは、大学卒業後プロゴルファーを志していた。が、次第に鮨の世界に魅せられ「鮨で世界に進出したい」という新たな夢を抱くように。
ある日、恵比寿『えんどう』の店主、遠藤記史さんと運命的な出会いを果たし、すぐに弟子入り。伝統的な江戸前の仕事を踏まえつつ現代的にアップデートする遠藤さんの仕事に、大いに刺激を受けたという。
「厳しい師匠ですが、海外でのポップアップなど、ほかではできない経験も積ませていただきました」
開店準備中には、全国の産地を訪れて生産者とコミュニケーションを図った。
“鮨の華”ともいうべき「中トロ」。
産地直送のタネを積極的に使っており、マグロもそのひとつ。この日は佐渡から。
いち押しの「タイ」は、卓越した「神経締め」で知られる愛媛・今治の漁師、藤本純一さんから届く。
鰻が纏った炭の香りと海苔の風味とが重なり合う「鰻の海苔巻き」。料理はすべてコース(¥22,000)の一例
また、握りと並ぶコースの目玉に据えたのが、炭焼きの鰻。つまみの「くりから串」と、コース終盤手巻きで味わえる。
若竹のように瑞々しい北村さんの感性で、今後ますます成長必至の注目株だ。
3.星付き店を経験し、発酵と香りを操るシェフが新しき食の扉を開く
『seto』@九段下
2025/11/10 OPEN
極めてミニマルな空間は、『L'AMITIE』や『EIFFEL』など人気店を手掛けるMILE STONE長田 篤氏に依頼。店内では陶芸の展示も
無駄を削ぎ落としたカウンターが料理の美しさを引き立てる
今、食を愛する人々の耳目を静かに集めているのが、ここ『seto』だ。
脊戸さんの「料理に集中してもらいたい」という思いから美術館のようなクリアな照明を採用している
18歳でフィレンツェに渡り料理人としての一歩を踏み出した、オーナーシェフの脊戸壮介さん。
その後は代々木上原『セララバアド』、デンマーク『Kadeau』、ペルーのスターシェフによる紀尾井町『MAZ』といったイノベーティブレストランで経験を積んだ。また独立前には、ポップアップイベント『Noma Kyoto』にインターンとして参加も。
装飾を極限まで排したストイックな空間で供されるのは、極めて独創的な晩餐。
白いかとビーツ、スナップエンドウなどを使い彩りも鮮烈な一品には、ヒバ科の植物「ヨーロッパゴールド」のオイルとジャスミンの香りを移したクリームを添えて
ひと品ひと品、食材が持つ味や香り、食感といった要素をシビアに見極めてコースを構成。
前菜、魚、肉……といった一般的な流れには捉われない。
発酵ペーストに漬けてから葛粉をまぶし、薫香のある中国茶「ラプサンスーチョン」で茹でた鴨肉と焼いた九条ねぎに、発酵しいたけのソースや削った栗を
また、発酵を施したり、さまざまな茶葉、花や樹木の香りを巧みに重ね合わせたりと手がかかっていながら、ビジュアルはシンプル。
そしてクリアな余韻が深く長く続く。まさしく唯一無二だ。
バラの芳香を纏わせた洋梨、発酵セロリ、ヒノキパウダーなどが香るひと皿。
いずれもコース(¥19,800)の一例。
4.『アロマフレスカ』出身の実力派シェフの新店に舌の肥えた白金民、歓喜!
『ristorante io』@白金高輪
2025/11/1 OPEN
レンガがあしらわれた壁面が、温かみを醸し出している空間。テーブル席もあり、親しいメンバーとの肩肘張らない会食にもぴったり
美食店ひしめく“北里通り”にひっそりと。通いたくなる理由はこの軽やかな料理にあり
恵比寿三丁目の交差点から白金高輪へと続く「白金北里通り商店会」は、昔ながらの個人商店と気鋭のレストランとが軒を連ねるユニークな商店街。
その一角、北里大学病院のはす向かいにチャーミングなイタリアン『ristorante io』が誕生した。
目下ワンオペで奮闘中のオーナーシェフ・下河邉さん。穏やかな人柄がうかがえる柔らかな雰囲気と語り口で、和ませてくれる
オーナーシェフの下河邉大輝さんは、銀座のイタリアンで4年の修業を経てイタリア・ローマへ。現地のトラットリアに勤務したほか、北から南まで全土を縦断したこともあり「イタリア料理のなんたるか」を肌で感じてきたという。
帰国した後は、銀座『アロマフレスカ』(現『Shin Harada』)でリストランテの繊細な技術や表現を習得。その後、鎌倉のトラットリアのシェフを務め、満を持して独立に至った。
「真鯛のカルパッチョ」はトマトとハーブの香りが華やか。
「ほたてとちぢみほうれん草のアーリオオーリオ」には、自家製のタリオリーニを使用。
パスタは3種類からチョイスできる。
オーブンで1時間かけて焼き上げる「カリフラワーのロースト」は下にフォンドゥータソースを、上に卵黄のソースとアンチョビ、パルミジャーノチーズをあしらったリッチな一品。
「本日の煮込み」は、牛すね肉を赤ワインで煮込んだ一品。コクがありつつ、トマトの酸味が爽やか。料理はいずれもスタンダードコース(¥8,800)の一例
食の経験値が高い大人をも満足させる料理を気取らぬ雰囲気の中で、しかもこなれたプライスで楽しめる店は、この界隈ではいたって貴重。
期待のニューフェイスに要注目だ。
5.名店『鳥しき』の系譜の味を酒場感覚で楽しめる、話題のスタイルを芝浦でも!
『芝浦とりまち』@田町
2025/12/1 OPEN
店は運河と並行する「ももよ通り」沿いに。オフィスビル、住居、商店が混在する賑やかな通りでもひときわ目を引く暖簾が目印だ
気軽で上質。湾岸エリアで働く大人の新たなオアシスになる
焼き鳥界のフロントランナーである目黒『鳥しき』。店主の池川義輝さんは店の暖簾を守りつつ、焼き鳥文化のさらなる発展のために“鳥しきICHIMON”を結成。さまざまな焼き鳥店を展開している。
その中で『とりまち』は“普段使いの最高峰”を標榜するブランド。中目黒、原宿に続き、昨年12月に登場した3店舗目『芝浦とりまち』は、リラックスモードで訪れられるのが、なんとも嬉しい。
上から、レア気味に焼き上げる「ささみ」¥350、希少部位の「せせり」¥380
人気の部位を取りそろえる焼き鳥は1本からオーダー可能。
もちろん、火入れの技術は“鳥しきICHIMON”のDNAを継承し「近火の強火」で焼き上げている。
上から、食感が小気味良い「砂肝」¥350、しっとり&ボリューミーな「もも」¥380。
4種の〆のご飯の中でも圧倒的な人気を誇るのが「『鳥しき』そぼろ釜めし」¥1,880
そして自慢の煮込み、『鳥しき』秘伝だというスープで炊いた釜めしが、メニューの三種の神器。
内臓類を中心に鶏のさまざまな部位を八丁味噌でじっくりと煮込んだ「とりまち名物 鶏の煮込み」¥1,580。豆腐とたまごも入ってボリューム満点
加えて一品料理も、酒場の定番系つまみからオリジナリティに満ちた個性派までと、幅広いラインナップだ。
スタッフの和やかな接客の様子を臨めるコの字型カウンターは劇場のよう。暖かい季節なら、運河に面したテラス席で盛り上がりたい
湾岸エリアの開放的な雰囲気の中、食べて飲んで、大いに寛ぎたい。


