「苦労は買ってでもしろ」。そんな時代はもう終わったのかもしれません。2026年の消費トレンドを象徴するのが「風呂キャンセル界隈」ならぬ、「苦労キャンセル界隈」というキーワードです。
コストをかけてでも苦労をキャンセルして効率化するのが最近の流れで、タイパ志向は加速し続けているようです。特に食の分野では、手間をかけずに専門店レベルの味を楽しめる「エコノミーグルメ」が注目を集めており、新たな市場を創り出そうとしています。
常温保存で2分、生パスタ革命の衝撃
【画像出典元】「stock.adobe.com/BRAD」
日清製粉ウェルナが2025年秋に発売した「マ・マー レンジで2分 もちもち生パスタ」は、袋のままレンジで2分間温めるだけで、もちもちとした食感の生パスタを楽しめる新発想の製品です。原料の配合や独自の製法により、生パスタならではのもちもち食感を実現し、常温保存できるためストックしやすいのが特徴です。
従来、生パスタといえばレストランで食べるものでした。家庭で作るには、大きな鍋でお湯を沸かし、麺を茹で、ザルに上げて湯切りをして……という一連の作業が必要でした。これが、レンジでたった2分、水も鍋も不要で作れるようになったのです。
日清製粉ウェルナの岩橋恭彦社長は、「猛暑や米不足、インフレといった外部環境の変化の中で、パスタマーケットは非常に好調で主食としてのプレゼンスが高まっている」と述べています。
価格は1食238円(税込)。レストランで生パスタを食べれば1,000円以上してしまうところ、4分の1程度のコストで、しかも自宅で手軽に楽しめる。「貧相な食事はしたくないが、食費は抑えたい」という現代の消費者心理を見事に捉えた商品といえるのではないでしょうか。
コンビニで90秒、専門店の味が完成する時代
もう一つの注目商品が、セブン・イレブンが埼玉県内の一部店舗で導入した蒸式調理ロボット「STEAMA(スチーマ)」です。麺の入った容器をセットしてボタンを押すだけで、調理開始から約90秒で、本格的な味わいの出来立てラーメンを楽しめます。
STEAMAは高圧・高温の水蒸気を用いて専用の冷凍食品を短時間で調理できる調理ロボットで、独自の技術により麺の中心から滑らかで弾力のあるゆでたて食感を再現します。2025年9月に大阪・関西万博内のセブン・イレブンで期間限定導入され、その後埼玉県内の一部店舗へ拡大しました。ラーメンの価格帯は600円前後。
東京都内では1杯1000円超が当たり前になっている中、コンビニで専門店レベルの熱々ラーメンが600円で食べられるのは、大きな魅力です。ラーメン好きにとっては、行列に並ぶ時間も、店を探す手間も「キャンセル」できるわけです。