「苦労キャンセル」が生まれた背景
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なぜ今、こうした商品が次々と登場しているのでしょうか。背景には、私たちの価値観の大きな変化があります。
現代の消費者、特にZ世代やミレニアル世代は、時間対効果(タイパ)を重視する傾向にあります。技術や知識の習得に要する膨大な時間、行列に並ぶ待ち時間、検索や比較検討にかかる時間といった「ムダな時間」を削減するために、お金を払うことをいとわない消費者が増えているのです。
さらに、コロナ禍を経て、「無理をしない」「自分を優先する」という価値観が定着しました。かつては頑張ることが社会的評価を得る手段でしたが、今は頑張りすぎないことが尊重される時代です。テレワークや副業文化の広がりにより、時間の使い方そのものを最適化する人が増えたことも大きな要因です。
短縮できた時間を、推し活や美容、休息など、自分の好きなことに使いたい――。そんな前向きな理由が、苦労キャンセル文化を加速させているのではないでしょうか。
エコノミーグルメ市場の可能性
「時短」や「省エネ」には惜しみなくコストをかけるものの、上がり続ける食費をできるだけ抑えたいという消費マインドも高まっています。しかし、貧乏な思いもしたくない。そうした消費者の相反する欲求から、エコノミーな価格で専門店並みの味が手に入る商品が脚光を浴びているというわけです。
レンチン生パスタもコンビニラーメンも、共通しているのは「手間を省く」「時間を節約する」「でも質は妥協しない」という3つの要素です。
かつて「安かろう悪かろう」と言われた時代もありましたが、今は違います。AIやロボット技術、食品加工技術の進化により、低価格でも高品質な商品を実現できるようになりました。消費者は、そうした技術の恩恵を積極的に享受しようとしています。