◆買いだめせず、都度買いに行くのはなぜ?

「20歳の頃働いていたアルバイト先が、休む間もないくらい忙しかったんです。でも、仕事終わりに汗だくでビールを一気に飲んだとき、初めて『酒がうまい』と思ったんです」
そこで、酒の味を覚えたCANTAさん。とあるコンビニのオーナーと仲良くなり、廃棄の弁当や発泡酒を無料でもらうようになった。
「すぐに酔っ払いたかったので、ワンカップを挟んだことがありましたが、周囲から『それはやめろ』と言われてやめました。意外と高いですしね。今はアパレルショップの目の前がコンビニなので、毎日お酒を買っています。店員さんとも仲良くなって、たまにビールなどを奢ってくれるくらい顔なじみになっています。ほかのコンビニでも毎日買っているので、自然と缶に刺して飲むためのストローが出てくるようになりました」
何度も買いに行くのは面倒ではないか?
「段ボールで箱買いしたほうが安いはずですが、それは『なんか違う』と思うんですよね。ワンカップのように、『それをやったらおしまい』な気がするんですよ」
ここまで読者がどれほど感情移入しているかは分からない。でも、筆者は痛いほどCANTAさんの言っていることが分かる。買いだめしていると、いよいよ毎秒飲んでしまうのではないかという不安に襲われるのだ(実際、すでに飲んでいるのだが……)。
◆酒のおかげで店を始めたし、結婚もした
こうして毎日、504グラムのアルコールを摂取しているCANTAさん。普段から吐き気とむくみが当たり前……。でも、飲まないと仕事にならないのだ。「人見知りなため、シラフだと接客もできないんですよ。それでも、酔っぱらっていれば酒の勢いで話しかけられるんです。というか、飲まないと会話したくないんです」
いくら、アルコール依存症だと言われても、何度も酒の力に助けられてきた。
「誰もいない新天地に飛び込んだのも、お店を始めたのも、結婚も全部酒の勢い。今はブランドもやっているのですが、それも酔っぱらったときに考えたデザインを採用してもらっています」
酒では失敗しかない。でも、失敗の倍くらいの成功はある……。そう語るCANTAさんだが、周囲からは何度も酒をやめるよう説得された。
「お母さんと嫁にずっと『やめるように』と怒られていたんですよ。でも、最近は何も言ってこないので、もう諦めたのでしょうね。すると、今度は怖い先輩たちが『いい加減にしろ』と怒ってくれるようになりました。そこで、朝から飲むのをやめるため、『夕方5時までは飲まない』という約束をしました」

