◆四球増加と勝負回避…今年の「BB/K」が示す変化の正体
成績が成績だけに、大谷のどの打撃データを見てもさえないが、違和感を覚えるのが四球数と三振数の比率を示す「BB/K」という指標だ。昨季までの大谷は勝負を避けられるなどし、四球は決して少なくないが、それ以上に三振の数が多かった。ここ数年の「BB/K」は0.5から0.6あたりを推移しており、四球1つに対して、2つ前後の三振を喫する。それが大谷の打撃の良さでもあった。
ところが今季は、まだ打席数が少ないとはいえ、四球7個に対して、三振の数は5個。「BB/K」は1.40という大谷らしからぬ数字が残っている。
昨季は0.58だった「BB/K」が、今季は1.40に大幅に“改善”していることは本来なら歓迎すべき事象だろう。しかし、大谷とすればそれだけ勝負を避けられているということ。打率.167に比べると異常に高い「出塁率.423」がその証拠といえるだろう。
実際に今季、相手投手が大谷に対して、ストライクゾーン内に投じた「In Zone%」と呼ばれる指標は38.8%で、全体の6割以上がボールゾーンに投じられている。過去2年の「In Zone%」が40%台後半だったことから、今季はより相手バッテリーの厳しいマークにあっていることがわかる。
◆空振り率減少が裏目に…“当てにいく打撃”の落とし穴
さらに厄介なのは、大谷の空振り率が大幅に“良化”していることだろう。打者がスイングを試みたときにどれだけ空振りしたかを表す「Whiff%」で、大谷は昨季33.4%を記録していた。これは3回のスイングで1回は空振りをしていたことを意味する。今季はこの数値が24.0%まで良化しているのだ。さらに問題なのは、ボールゾーンに投じられた球に対してのコンタクト率が高い点だろう。これは昨季46.7%だったのが、今季は57.1%まで飛躍的に伸びている。
「BB/K」と同様に、これも他の打者ならポジティブなデータといえるが、大谷にとっては必ずしもそうはならない。当然、2ストライクと追い込まれたときの空振りは三振を意味するが、0ストライクもしくは1ストライクの時にボールをバットに当ててしまっているということ。
ボール球はバットに当てたとしても長打にはなりにくいため、むしろ空振りで次のチャンスを待つ方が大谷にはプラスとなる。それが昨季までの大谷の打撃だった。
相手投手目線でいえば、今季はボールゾーンへの誘い玉で大谷を打ち取っていると言い換えることができる。逆に大谷目線で捉えれば、相手バッテリーがあまりにも勝負をしてくれないため、際どい球にも手を出してしまっているというところか。

