◆「引き寄せの法則」のコツと落とし穴とは?

角:ヘミシンクにはたくさんの種類があるのですが、その中に自分の願った通りの現実を具現化するCDがあったんです。文字通り「具現化」というタイトルで。幽体離脱が本当にできたのだから、このCDも効果があるのではと試してみたら、怖いほど次々と願望が実現して……。
――そのCDは、どんな内容なんでしょうか?
角:悩みなど今抱えているストレスを、一度、箱の中に全部詰めることをイメージするんです。そして、力を抜きながら「あなた本来のやりたいことをイメージしてください」といった音声ガイダンスに沿い、願いを具体的に思い描いていきます。
――どのような感じで願望が実現したんでしょうか?
角:当時は前述の出版社を辞めて再就職先も決めておらず、失業保険が下りる間はプラプラしていたいけど、遊ぶお金は欲しいという状態でした。だから「在宅でできる割のいいバイトが欲しい……」と思っていたところ、知人から「そういえば角ちゃんって結構絵がうまかったよね」と依頼が来て。イラストレーターとして活動していたわけでもないのに、ですよ。次は別の知人が、書店のPOPを描ける人を探していると。それがまた、相場よりもすごくギャラが良くて。その後、入りたかった出版社・サイゾーにもスムーズに採用され、担当記事がバズり続けた結果「TOCANA」創設にも繋がるなど、ほとんどが実現したように思います。
――まさに狙った通りのことが起きたわけですね。
角:引き寄せの法則は、一度始まり出すと加速度的に効いてくる感じです。ただ、私が願ったのは、ぼんやりと「1億円欲しい」とかではないんですよ。就職するにも自分で履歴書を作って、自分で会社を探さなきゃいけないじゃないですか。ちゃんとそういうプロセスを含めて、現実的な願い事をしていました。
――自分がイメージできる範囲の願望を設定すると。
角:100万円をイメージしたら100万円が来ると提唱する人も多いですが、それは違うと思うんです。自分がイメージできるレベルの幸運がどんどん引き寄せられてきて、最終的に100万円として形を結ぶかもしれないという話です。叶えられない人は、やはりどこかで疑っている。だから、すごく身近なレベルからやってみてほしいですね。「目覚まし時計なしで明日8時に起きられますように」ぐらいから始めてもいい。
◆“真実”への近道は、必ず疑いから開かれる

角:引き寄せの法則の本には方法がたくさん提唱されています。でも「この食事法なら健康になる」と断言できないように、自分の体質や意識状態に合った方法で行わないと逆効果になると思いますね。そういえば、本の編集過程でも“変な現象”が起きたんですよ。
――えっ! どんなことが?
角:校正用紙が届かないので、担当編集に聞くと「すでに送った」と。追跡番号で調べても「配達済み」となっているのですが、夫も不在だったので絶対にそんなはずないんです。それで、業者に受け取りサインを見せてもらうと、明らかに私の筆跡ではない……いまだに理解不能。配達員はいつも来ている人で、「確かに届けた」と言うんです。
――怖いですね……そんな超現実の世界を探索するうえでのモットーはありますか?
角:信用しすぎないことですね。私自身は心霊や精神世界の本を読んで、仮にものすごく感動しても、丸ごと信用することは絶対ありません。常に「これは本当かな?」と疑うことを絶やさないようにしています。仏典でも聖書でも、どんな大物が提唱することであっても同じです。たとえばスピリチュアル界では死後の世界が当然のようにあるという前提で語られますが、それは自分が死なないと検証できないでしょう。幽霊を別々の部屋に5体ほど集め、何日間で成仏するかインタビューし、全員が「49日です」と答えたらようやく信用できる。こうした姿勢は、冒頭で言った小3である日突然世界が変わってしまった経験にも起因していると思います。

