◆助手席に移っても悪態をつき続けて…
高速道路を運転していた彼は「疲れた」と言い、サービスエリアで水橋さんと運転を交代することに。「絶対言われるんだろうなと思っていましたが、私の運転に対して『グズグズ走るなよ!』とか『お前なんでそんなに運転下手なの?』と平気で言ってくるんです。自分は運転が上手いと思っているらしいんですが、あの運転でよく言えるなと思い、ただただ軽蔑しましたね」
元来モラハラの気があったという彼氏だが、車内での様子はいつも以上にひどかったという。
「密室の空間だからなのか、運転すると気が大きくなるタイプなのか、本当に耐え難いほどでした。観光地で車を降りて回っている時に、またこの男の文句を聞きながら旅行を続けるのかと思うと、心底嫌になりました。ホテルで一夜を過ごすなんて本当に無理で、涙が出てくるほどでした」
絶望的な状況のなか、水橋さんは不意に母の言葉を思い出した。
「小さい頃から母に『本当に嫌なことはしなくて良いんだよ』といわれていて、その言葉を思い出しました。『そうだこんなに嫌ならやめれば良いんだ』と思ったんです」
◆サービスエリアに置き去りにして走り去った
それが出来る状況にあることにも思い至った。「トイレにいくために次のサービスエリアで二人とも下車しました。『モタモタするなよ』と彼氏に背中越しに言われたんですが、これからすることを思うと思わずにやけてしまいました。私はトイレに向かうふりをして、彼氏から見えなくなったところで、方向を変えて車に向かいました。乗り込むと彼氏を置き去りにしたまま、その場を離れたんです」
携帯に電話とチャットの通知音が鳴り続けるのを聞きながら、水橋さんは家路についた。
「連絡は完全に無視しました。全然土地勘がない場所からどうやって帰ったんでしょうね(笑)。彼はまだ一人暮らしをしている私の家には来たことがなかったので、怒鳴り込んで来るような心配もありませんでした。だから、イケるだろうと踏んで実行したんです」
その日の夜、水橋さんは友人を誘って飲みに行った。彼氏が送ってくる、心配と脅迫を繰り返すモラハラ全開のメッセージを酒の肴に、大いに盛り上がったという。

