◆空いている優先席に座ったら…

「混んできたら立つつもりでした」
周囲には空席もあり、立っている人はいなかった。小声でしりとりをしながら静かにしていたという。
すると、途中駅で60代くらいの女性が乗り込んできた。女性は、まっすぐ石田さんのほうへ歩いてくると、突然声を荒げた。
「優先席になんで元気そうなあんたたちが座ってんだ!」
電車内の空気が一瞬で張り詰め、石田さんは「え?」と戸惑いながらも立ち上がろうとした。
◆「日本は終わったな!」と言い捨て…
女性は「病院帰りなんだ」と言い、大量の薬を取り出して見せたきたそうだ。「毎月1時間かけて通院しているんだよ! あんたたちみたいなのがいるから座れないんだ!」
怒りは止まらなかった。すると、夫が口を開く。
「優先席は専用席ではありません。乳幼児連れも対象です」
しかし、説明を重ねるほど、女性の声は大きくなった。
「日本は終わったな!」
そう言って、女性は先に電車を降りていった。石田さんは、しばらく言葉が出なかったという。
「誰かを押しのけて座ったわけではありません。それなのに、“マナー違反の象徴”のように扱われたことが悔しかったです」
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

