◆口を出す前に自分の国語力のなさを憂うべき
やはり最大限好意的に解釈するならば、日本の算数教育に対して憂いを抱かれる善良な一市民による熱のこもった指摘だったのかもしれませんが、それにしては、大人数で数的な矛盾を指摘するにとどまり、その前提条件にまで目をやっていない視野の狭さには、逆に目を覆いたくなるほど。算数教育よりも自らの国語力の無さを憂うべきを、他者の表層的な運用不備をあげつらうに終始している様を見るのは、滑稽さと哀愁が同居するピエロのパントマイムのように見えてしまいます。
そういえば、藤子・F・不二雄氏の『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』に出てきた句楽兼人も似たようなキャラ付けでした。
真面目で正義感が強いが、独善的に社会の悪を見定めるしかない視野の狭さで、周りの人間からは日常的に煙たがられてしまう……。
周囲の人々が何か行動を起こすには、やはり何かの理由がある。
他人の立場に立ってみて、相手の思考を想像して、なぜそのような発言、ふるまいをしたのかを、立ち止まって考えるべきです。
受験中心に物事をとらえる人々は、やれ国語だ、やれ算数だとてんやわんやしていますが、本当に必要なのは、イラっと来た時に一息ついて落ち着く余裕と、相手の行動原理を読み解く観察力、相手と交信を試みるコミュニケーション能力なのかもしれません。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

