◆桜蔭入学時は「学年で真ん中くらいの成績」

片栗:小学校時代はそんなに勉強に集中していたわけでもなくて、いつもノートの端っこに絵を描いているような子でした。それでも試験では9割を切らないし、小学校でも学年で1、2番争いを演じていたので、確かに素質がなくはなかったかもしれません。
でもそんな飛び抜けたエピソードもなくて……ただ少々変わった子ではあったみたいですよ。母に聞くと、たとえばディズニーの本を読んでいて「ミッキーどこ?」と聞くと、表紙などにデカデカ描いてあるミッキーを指差すことはなくて、奥付にちょこっと描いてある小さいミッキーの形を指さしたりしていたようです。
――着眼点が変わってますね。そんな片栗さんも桜蔭に入学すると、やはり周囲のレベルの高さに驚くものですか。
片栗:そうですね、レベルはとても高かったです。基本的にみんな各学校で浮いてたような子たちばかりなので、他校にありがちな校内のヒエラルキーとか深刻ないじめがあまりないのが特徴かもしれません。入学したときは自分の好きな教科しか勉強していなかったので、学年でも真ん中くらいだったと思います。
◆模試で全国19位になるも…徐々にひずみが
――それもすごいですけどね。その後、本気で勉強のスイッチが入る。片栗:はい、中3から高1にかけて、平日も1日平均5時間は勉強していたと思います。きっかけはスマホの購入でした。スマホを通じて先輩受験生たちの熱意に触れ、また同じくして科学オリンピックなどの存在を知ったことで、「自分もきちんと勉強をやってみよう」と思ったんです。
高校生になると、東進の全国統一高校生テスト(模試)を受けた子たちのなかで成績優秀者はiPadをもらえるキャンペーンをやっていて。高2で受けてみたら全国19位だったので、無事にiPadを手にできました。その模試の成績優秀者は、費用を東進で持つので海外の有名名門大学の授業を受けられるという触れ込みがありました。そのためにはSATというアメリカ版のセンター試験のようなものを受ける必要があり、猛勉強をする日々が始まりました。
――しかし、途中で心が疲れてしまう。
片栗:そうなんです。一応、高1で英検準1級は合格していたものの、ぜんぜん知らない単語がたくさん出てきて。活字を読んでいても文字として入ってくるだけで意味が飲み込めなくなり、「これはまずいな」と思いました。悩んだ末に、留学コースを辞めることにしたんです。
――初めての挫折ですね。
片栗:はい。当初、東大志望だったのをやめて、私立に切り替えようと思いました。高3の1学期はほぼ勉強が手につきませんでした。ただ予備校には足を運ぶだけの日々で。そんななかで、京大出身の講師が「京大受ければ」と何度もしつこく誘ってきて(笑)。「受かっても行きません」とずっと言っていたのですが、最終的に「受けるだけ受けます」となって、現役で合格できたという感じです。

