きっと誰もが持っている「定番」は、身に着け方、使い方に、その人のセンスと美意識が表れる。それを選んだ理由、重ねた時間…… 長く愛されるアイテムを、どう自分らしく着こなしているのか。&Premium149号(2026年3月号)「これからの、スタンダード」より、スタンダードを自分のスタイルへと昇華させる装いのアイデアと楽しみ方を、ビストロ店主、山口 萌菜さんに聞いた。

数年前にパートナーから贈られた〈ドリス ヴァン ノッテン〉のスカーフ。ピンクなど暖色を手に取りがちだったという山口萌菜さんにとって、植物柄の淡いグリーンはとても新鮮で、それまでの自分の着こなしを刷新する一枚になった。首元に巻いたりベルト代わりに使用したりもするが、普段はヘッドアクセサリーとして纏う。「重心が上がり首まわりがすっきり見える。トップに色を置くことで、全身の配色を俯瞰できて、バランスが取りやすいんです」。この日はドレスのグリーンを軸に、植物のイメージで統一。インナーと靴は黒で引き締め、バッグやアクセサリーで同系色を重ねる。耳元のパールのピアスを少しだけ覗かせて、《真珠の耳飾りの少女》をイメージした。「上にのせた色を、服や足元でさりげなく拾うんです。離れた場所で同じトーンを響かせることで、装いにリズムが生まれるような気がしています」。スカーフは寒さよけや小雨対策にもなる実用性を備えながら、全体を設計する起点になる。

Mona Yamaguchiビストロ店主
ヨーロッパの文化に親しみのある家庭で育ちピアニストを目指していたが、上京後に大好きだった食の世界にのめり込む。イタリア料理、ポルトガル料理、和食、フレンチビストロで働いたのち『Cyōdo』を開業、2021年に東京・幡ヶ谷に移転。
photo : Yudai Emmei illustration : Shapre text : Shoko Matsumoto
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NEW STANDARDS / これからの、スタンダード。&Premium No. 149
これからの私たちの「もの選び」は、どのように変わっていくのでしょう。暮らしの道具や日々の装いにおいて「本当に必要なもの」を問い直すとき、まず浮かぶのが「スタンダード」という基準です。一時的な流行を追うのでなく、いつまでも着たい、使いたいと思えるもの。つくりのよさ、機能とデザインが生む美しさ、そして作り手の心が伝わるもの。しかし、センスのいい大人たちは「定番だから」という理由だけで、ものを選んでいるわけではないようです。もう一歩先に踏み込み、自らの感覚を物差しにして摑み取っているのは「これからの、スタンダード」。すでにスタンダードになっているものを深く知り、ときには失敗を重ね、時間をかけて使い続け、本当に信頼のおけるものと出合う。そういった丁寧な歩みこそが人それぞれのBetter Life をかたちづくるのだと&Premiumは思います。未来の定番を見つけ出すために必要なのは「自分を知る」こと。心地よくて誠実な「スタンダード」探しの入り口は、ここにあります。
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