3. 雇用保険の保険料率
雇用保険の保険料は労使折半といい、労働者と使用者、つまり従業員と雇用主の双方で負担します。労働者の負担分は給与から天引きされます。
雇用保険料の金額は通勤手当や残業手当などの諸手当を含む給与に次の保険料率を掛けて算出します。
労働者負担 | 事業主負担 | 合計 | |
|---|---|---|---|
2024年4月 〜2025年3月 | 0.6% | 0.95% | 1.55% |
2025年4月 〜2026年3月 | 0.55% | 0.9% | 1.45% |
2026年4月 〜2027年3月
| 0.5% | 0.85% | 1.35% |
厚生労働省|雇用保険料率についてより作成
新型コロナウイルスの影響による失業者の増加や、休業手当を支援する「雇用調整助成金」の支給急増により、財政が悪化したことから、2022年度以降は雇用保険の保険料率が引き上げられてきました。
しかし、その後の雇用情勢の安定や保険財政の回復状況を踏まえ、2025年4月からは保険料率が引き下げられ、さらに2026年(令和8年)4月からは労働者負担分が0.5%(一般の事業)へと改定されます 。これにより、保険料率はコロナ禍前の水準まで戻ることになります。
4. 雇用保険の給付の種類
雇用保険の給付には失業時に受け取れる基本手当(失業手当)以外にも数多くの種類があります。今回はそのうち代表的な給付について紹介します。

基本手当
失業時に生活の心配をせずに求職活動に取り組めるよう支給されるもので、一般的に「失業手当」と呼ばれています。要件を満たす人に対して基本手当として離職前の給与の5割〜8割程度*1が支給されます。基本手当の支給は給付日数を消化するか、離職から1年*2が経過するまで続きます。給付日数は離職時の年齢と離職理由によって異なり、90日〜330日の間*3で定められています。
*1…支給額には上限と下限があります(参考:ハローワークインターネットサービス)。
*2…けがや病気、妊娠、出産、育児などのために30日以上働けない期間が発生した場合はその分だけ、最大3年まで延長可能。
*3…就職困難者(障がいのある人など)については150日〜360日(参考:ハローワークインターネットサービス)。
なお、基本手当は申請後すぐに受け取れるわけではありません。ハローワークで所定の手続きをおこなったあとには、まず失業状態であることを確認するために7日間の待機期間があります。自己都合で離職した場合には、そのあとさらに1ヶ月間の給付制限期間が設けられています。
さらに、支給開始後も4週間に一度、就職活動の状況を報告して失業認定を受ける必要があります。
失業手当について詳しくはこちら
>失業手当(失業保険)はいくら、いつからもらえる? 受給条件や申請方法を解説!
技能習得手当
ハローワークからの指示で公共職業訓練を受講する場合、技能習得手当として受講手当と通所手当が支給されます。さらに、訓練のために家族と離れて寄宿する必要がある場合には寄宿手当も支給されます。
<受講手当>
公共職業訓練の受講1日につき500円が最大40日間(合計2万円まで)支給されます。
<通所手当>
公共職業訓練がおこなわれる施設に通うために電車や車を使う場合に、交通費として月額最大4万2,500円まで支給されます。
<寄宿手当>
公共職業訓練を受講するために家族と別居して寄宿する必要がある場合に、月額10,700円が支給されます。支給対象になるのは「家族と別居している日」のみですので、対象とならない日がある場合は、支給額が日割りで減額されます。
就業促進手当
就業促進手当は早期の再就職や再就職先への定着を促すために支給されるもので、代表的なのが再就職手当と就業促進定着手当です。
<再就職手当>
再就職手当は、再就職先が決まった時点で基本手当の支給日数が1/3以上残っている場合に支給されます。再就職手当の支給額は次の計算式で算出されます。
基本手当日額×支給残日数×60%・基本手当の支給残日数が2/3以上の場合
基本手当日額×支給残日数×70%
<就業促進定着手当>
就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人で再就職後半年間に支払われた1日あたりの給与が以前の職場より少ない場合に、その差額が支給されます。ただし、就業促進定着手当は再就職手当支給後に残っている基本手当の中から支給されるため、上限額があります。上限額は次の計算式で算出されます。
基本手当日額×支給残日数×40%・再就職手当の給付率が70%の場合
基本手当日額×支給残日数×30%
教育訓練給付金
教育訓練給付金は厚生労働大臣の指定した教育講座を修了した場合にその費用(入学費と受講費)の一部が支給されるもので、代表的なのが一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金です。
教育訓練給付金は技能習得手当とは異なり、失業中の人だけでなく在職中の人も利用できます。ただし、過去3年間で教育訓練給付金を受給したことがある人は利用できません。
雇用保険の被保険者期間が1〜3年以上必要ですので、社会人経験を積みながらキャリアアップ、キャリアチェンジについて考えている人、ダブルライセンスを目指す人にとって有用な制度といえます。
教育訓練給付金の支給対象となる教育講座は次のページから検索できます。
>教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム
<一般教育訓練給付金>
一般教育訓練給付金は、教育訓練経費の20%相当額が支給されます(上限10万円)。対象となる講座には介護職員初任者研修修了や簿記検定合格を目指すものが含まれます。
<専門実践教育訓練給付金>
専門実践教育訓練給付金は、教育訓練経費の50%相当額が支給されます(上限は1年につき40万円/3年間で120万円まで)。講座修了から1年以内に所定の資格を取得するとさらに20%相当額が加算され、合計70%相当額が支給されます(上限は1年につき56万円/3年間で168万円まで)。
対象となる講座には業務独占資格や名称独占資格の取得を目指すものが含まれます。具体的には、看護師、准看護師、歯科衛生士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、保育士、柔道整復師、はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、理容師、美容師、調理師、栄養士、管理栄養士など。医療福祉分野の資格が多くあります。
なお、専門実践教育訓練給付金を受給するには、受講開始の1ヶ月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カード(参考:厚生労働省)を作成する必要があります。専門実践教育訓練給付金の利用を検討している人は、詳しくはお住まいのエリアのハローワークまでお問い合わせください。
介護休業給付金
介護休業給付金は介護休業を取得したときに、要件を満たす人に対して休業前の給与の67%が支給されます。受給できる期間は介護の対象となる家族1人につき93日間、この範囲内であれば最大3回まで受給可能です。
育児休業給付金
育児休業給付金は育児休業を取得したときに、要件を満たす人に対して休業前の給与の67%(育児休業開始から半年経過後は50%)が支給されます。給付金は子どもが1歳(パパママ育休プラス制度を利用する場合は1歳2ヶ月)になるまで受給でき、復職後の預け先(保育所)が見つからないなどの事情がある場合は最長2歳まで延長することもできます。
育児休業について詳しくはこちら
>育休(育児休業)とは? 期間や給付金・手当の計算方法まで解説!
介護休業給付金と育児休業給付金はともに、会社から給与(基本給や諸手当)の支払いがある月については、給与と給付金の合計額が休業前の給与の80%を超えないよう支給額が減額されます。休業前の80%以上の給与が支払われた月については支給対象となりません。また、受給手続きは原則事業者がおこないます。

