



ここからは、今回漫画の原作となった記事をお届けする。
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「人は見かけによらぬもの……とは言いますが、あのときほど、見かけで判断しちゃダメだなぁって思ったことはないですね」
そう話してくれたのは、都内に住む主婦の岩田順子さん(仮名・37歳)。岩田さんは当時、1歳半の息子さんと一緒にバスで起きた出来事を振り返ってくれた。
◆満員のバス車内に居合わせた迷惑老人客

すると、目の前にいた男性が立ち上がり、岩田さんに席を譲ろうとしてくれたという。
「バンダナを巻いてキャップを被って、金のネックレスをジャラジャラ。見た目から『ザ・Bボーイ』という感じで、タトゥーも入っていて、近寄りがたいな……って感じの男のコだったんですが、スッと立ち上がって席を譲ってくれました。ですが、私じゃなくて私の隣にいたおじいさんが、その席に座ろうとしまして……。すると、その男のコは『あ、お母さん、大変そうだからどうぞ』って制してくれたんです」
この行為が老人の怒りの導火線に火を付けてしまうことになる。
「そのおじいさん、私に席を譲られたことがよほど気に食わなかったようで、席の横に置いたベビーカーを足で押してきたり、舌打ちをしたり、ため息を付いたり……。なんか気まずいなって思いながら乗っていました」
◆泣き始めた息子を睨む老人
すると間が悪いことに抱っこしていた息子が泣き出してしまったのである。「もともと寝起きは機嫌がよくなくて、さらに抱っこして座っていたことで窮屈だったことも重なって、ギャン泣き状態になりました。一生懸命あやしたんですが、もう、何をしてもダメ。一度、前に座っていたおばあさんが『おなか空いちゃったのかしら?』って心配そうに声を掛けてくれたんですが、子供ってスイッチが入ると、とにかく泣き続けちゃうんですよね。雨が降ってましたが、降りて落ち着かせたほうがいいかなとも思い始めていました」
ふと、岩田さんは視線を感じて顔を上げると、そこには席に座れなかった老人が、鬼のような形相で睨んでいたのであった。
「もう、気まずくて気まずくて……。これはもう、びしょ濡れになることを覚悟で降りるしかないと思いました」

