きっと誰もが持っている「定番」は、身に着け方、使い方に、その人のセンスと美意識が表れる。それを選んだ理由、重ねた時間…… 長く愛されるアイテムを、どう自分らしく着こなしているのか。&Premium149号(2026年3月号)「これからの、スタンダード」より、スタンダードを自分のスタイルへと昇華させる装いのアイデアと楽しみ方を、ファッションディレクター松岡 歩さんに聞いた。

〈シャルベ〉の魅力について「上質な生地と美しい縫製、そしてブランドとしての揺るぎないこだわり。袖を通すと自然と高揚感が湧くんです」と語る松岡歩さん。はじめは二次市場で古い個体を収集していたが、既製品はフォルムがドレス寄りで自分の装いには馴染みにくいと感じ、3~4年前にオーダーメイドを決意。「〈シャルベ〉の良さを生かしつつ、自分のスタイルに落とし込み、日常で着られることを最優先にしました」。身幅はゆとりを持たせ、ネック位置を下げて襟の圧迫感を軽減。胸ポケットはフラップ仕様に変更し、ワークシャツの要素を加えた。「最高峰の素材と縫製技術を備えながら、あくまでカジュアルに着られる。そんなハイとローのバランスを意識しました」。普段はアウターのように軽く羽織り、コットンのサーマルをレイヤード。色はグレーとシャツに近いトーンでベーシックにまとめつつ、それぞれにわずかな違和感を忍ばせることで、スタンダードを新たな視点で捉え直し楽しんでいる。

Ayumu Matsuokaブランディングディレクター / HABICHT Inc.
大手百貨店で10年間メンズファッションとライフスタイル領域のディレクション、バイイングを担当。2024年に『HABICHT Inc.』設立。その後独立し、俯瞰的な視点で企業やブランドに伴走するサービスを提供している。
photo : Yudai Emmei illustration : Shapre text : Shoko Matsumoto
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NEW STANDARDS / これからの、スタンダード。&Premium No. 149
これからの私たちの「もの選び」は、どのように変わっていくのでしょう。暮らしの道具や日々の装いにおいて「本当に必要なもの」を問い直すとき、まず浮かぶのが「スタンダード」という基準です。一時的な流行を追うのでなく、いつまでも着たい、使いたいと思えるもの。つくりのよさ、機能とデザインが生む美しさ、そして作り手の心が伝わるもの。しかし、センスのいい大人たちは「定番だから」という理由だけで、ものを選んでいるわけではないようです。もう一歩先に踏み込み、自らの感覚を物差しにして摑み取っているのは「これからの、スタンダード」。すでにスタンダードになっているものを深く知り、ときには失敗を重ね、時間をかけて使い続け、本当に信頼のおけるものと出合う。そういった丁寧な歩みこそが人それぞれのBetter Life をかたちづくるのだと&Premiumは思います。未来の定番を見つけ出すために必要なのは「自分を知る」こと。心地よくて誠実な「スタンダード」探しの入り口は、ここにあります。
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