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中学受験「問題難易度のインフレ」が止まらない。“20年前の開成中の問題”は「偏差値50でも解けて当たり前」に

中学受験「問題難易度のインフレ」が止まらない。“20年前の開成中の問題”は「偏差値50でも解けて当たり前」に

―[貧困東大生・布施川天馬]―

 誰もが「お金を払うなら、それなりの価値があってほしい」と感じるはず。

 100円均一ショップが成立するのは、100円にしては十分なクオリティと品ぞろえを誇るから。

 仮に、100均の商品をひとつ1万円で売り出したら、レビュー欄は大荒れで炎上間違いなしでしょう。

 家具販売で有名なニトリのコピーは「お、値段以上。」ですが、これは価格以上の品質を提供し、顧客満足度を高めんとする姿勢が表れています。

 こちらも「値段以上」だからうれしいのであり、「値段以下」なら誰も手に取らなくなってしまうはず。

じゅそうけん合同会社代表・伊藤滉一郎氏
じゅそうけん合同会社代表・伊藤滉一郎氏

◆都内を中心に加熱する中学受験ブーム

「教育投資」の重要性が囁かれはじめてから、20年以上が経とうとしています。

 特に昨今は中学受験ブームが勢いを増しており、1980年代には12%程だった中学受験の参入率は、今では30%近くまで上昇。

 都内では3人に1人が受験を考え、特に競争が苛烈な港区や文京区では2人に1人が受験戦争へ身を投じていく。

 もちろん、教育投資自体は悪くありません。ただ、いっそう激しさを増す受験ブームに対して、冷ややかな目線を送る人も少なくない。

 受験最前線の分析や解析を得意とするじゅそうけん合同会社代表・伊藤滉一郎氏は「いまの中学受験参加者の、少なくとも過半数は必要がない受験をしている」と語ります。

 異常な熱を帯びる中学受験戦争のリアルに迫ります。

◆「20年前の開成レベル」は解けて当たり前に

ーー中学受験が年々激しさを増していると聞きましたが、現代はどんな状況なのでしょうか?

伊藤:とにかく、問題難易度のインフレがものすごいんです。

 毎年100人以上を東大に送り込む開成高校という学校があります。中高一貫校で、学年のほとんどが中学からの持ち上がりで構成されますから、実質中学入試が東大へのプラチナチケットのようになっている。

 もちろん、受験難易度も最高峰で、各受験塾の一番頭がいい子が受かるかどうか、といったところ。ですが、いまの偏差値50程度、つまり平均くらいの子たちですら、20年前の開成中学の過去問が解けて当たり前なんです。

 それですら偏差値50のキープがギリギリ。20年前の開成入試が簡単だって話ではありません。むしろ、大人でも手こずる難問ばかり。今の子どもたちに求められるレベルが、比較にならないほど上昇しているのです。

 そろそろ、「小学生」のキャパシティを超えると言われています。どうあがいても覚えきれない、理解しきれない領域に、5年から10年以内には到達してしまう。少子化の影響で中学受験熱が冷めるのが早いか、子どもが限界を感じるのが先かのチキンレースです。


配信元: 日刊SPA!

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