◆無視できないほど深刻な「靴の弊害」

「足裏は、地面の硬さや傾斜、凹凸を感じ取る体のバランスセンサーです。ところが靴を履くとその情報が遮断されてしまいます。それに、人間は本来つま先から着地する生き物。現代のかかと先行の歩き方は、人類学的には実は不自然なんです。
かかと着地は膝や腰への衝撃が大きく、慢性的な障害に繫がるケースもあるでしょうね。靴が足の筋肉や腱の働きを代替することで足本来の強さも失われ、扁平足や足底筋膜炎を招きやすくなることも見過ごせない。これはハーバード大学のリーバーマン教授も指摘しており、肥満体では特に顕著です」
◆健康のために歩く前にやるべきこと
こうした弊害に対抗するために金森氏が活用しているのが、ソックスタイプのベアフットシューズ「スキナーズ」と、南米の先住民タラウマラ族の履物を現代風にアレンジしたサンダル「ワラーチ」だ。薄底で足裏の感覚を残しながらも、最低限の保護機能を備えたこれらの履物は、かかとではなく足指から着地する人間本来の歩行を自然と促してくれるという。
「本当は裸足で大地を摑むように歩くのがいいのですが、現代の舗装道路で完全な裸足歩行は現実的ではありません。ただし、時には芝生の上などに出て、裸足で足指を意識するように歩いてみましょう。それだけでも足裏の神経は活性化し、失われた機能は少しずつ取り戻せるはずです」
健康のために歩く前に、「歩ける足」をつくる。その順番を間違えないことが、遠回りのようで最も確かな近道だ。

「RiCarna Clinic」院長。足の専門医として、日本初の足の総合病院「下北沢病院」院長を務める。著書に『1日3000歩 歩きたいのに歩けない人のための すごい足踏み』(アスコム)など


東京大学法学部卒。作家、監訳者、ビジネスプロデューサー。「旧石器時代になるべく近い生活様式を現代で再現する」ことをモットーに、食事、サプリメント、歩行、睡眠などの研究にも余念がない。近著に『なぜヒトは脂質で痩せるのか』。’26年現在、バヌアツ共和国で暮らす

取材・文/週刊SPA!編集部
―[不健康になる!危険習慣]―

