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ルイ・ヴィトン 30代トップ販売員が3年かけて学んだ「中国語」…“爆買い”の現場で悟ったこと

ルイ・ヴィトン 30代トップ販売員が3年かけて学んだ「中国語」…“爆買い”の現場で悟ったこと

2010年代、日本の小売業界を席巻した「爆買い」ブーム。当時、高級ブランド『ルイ・ヴィトン』の販売員だった土井美和氏の目の前にも、日々多くの中国人観光客が押し寄せていました。通訳は常に不足し、多くの販売員が対応に苦慮するなか、彼女はどのように対応したのでしょうか。同氏の著書『「自分」というブランドを売る 元ルイ・ヴィトン トップ販売員が大切にしてきたこと』(大和出版)より、言語の壁を乗り越え、結果を出し続ける販売術を紹介します。

「難聴のお客様」との出会いが生んだ「新たな習慣」

お店には様々なお客様がご来店されます。時には言語が伝わらず、歯がゆい思いをした方もいるのではないでしょうか。

私が「手話」を学ぼうと思ったきっかけは、ある日いらっしゃった難聴のお客様との出会いでした。

その時は筆談を用いつつ、とにかく笑顔で接客しました。やりとりに時間はかかってしまったものの、最後に以前ドラマで見て覚えていた「ありがとうございます」だけ、手話でお伝えしました。たったそれだけでも、お客様が驚いてパッと笑顔になり、とても喜んでくださったのが印象的でした。

その後、すぐに思いました。「もっと手話ができたら、もう少しスムーズに接客ができて、もっと喜んでいただけるかもしれない」と

すぐに書店で手話の本を探し、販売の現場で使えそうなフレーズや、色、簡単な単語を中心に少しずつ覚えていきました。そして、朝礼でも1日1つずつ手話を紹介して、スタッフの皆と一緒に練習していきました。

外国人観光客の増加にともない、中国語の勉強もスタート

もう1つ、私が勉強したのが中国語でした。

2010年代に入ってから、多くの中国人観光客が訪れるようになりました。特に2014年から2015年にかけては、連日「爆買い」と呼ばれる現象をニュースで目にするようになり、当時私が働いていた新宿高島屋でも、中国からのお客様が増えたなぁと感じていました。

お客様の中には英語が通じない方もいて、百貨店内の中国語通訳スタッフを呼ぶ機会が増えましたが、どの売り場もその方々を必要として、連絡しても全員別の売り場で対応中、ということもしばしばありました。

そこで、自分で案内ができたらもっとスムーズに、もっと安心して買い物を楽しんでいただけるのに、と思うようになったのです。

一緒に働いていた中国人のスタッフに、「少々お待ちください」や「お品切れです」などいくつかのフレーズを教えてもらい、発音をカタカナで書いた紙をポケットに忍ばせて、見ながら伝えたりもしていました

2013年頃から社内で中国語講座が開講されました。私も、ちょうど下の子が小学校に入学するタイミングでもあり、今なら少し自分の時間を取って勉強できるかも、と受講を希望。週に1度、2時間の講座を公休日に通うことにしました。

受講生の多くは入社2〜3年目の若いスタッフで、最初は少し緊張もしましたが、一緒に学ぶのはとても新鮮で楽しく、何より刺激的でした。初級編から始まり、中級編、上級編と、3年間にわたり勉強を続けました。

働きながらの学びは簡単ではありませんが、学生時代に英語やフランス語を勉強して元々言語を学ぶことが好きでしたし、30代後半から新しい学びがあることがなんだか新鮮で楽しくて、3年間続けられました。言葉が少しずつ「使えるもの」として自分の中に増えていく感覚が、とても嬉しかったのです

そして、このような学びを社内でいただけること自体が、本当にすごいことだなぁと改めて感じていました。

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