◆認知症リスクは2倍!寝だめが危ない理由とは

「睡眠時間のムラが大きくなることが寝だめの大きな問題ですが、起きる時刻が遅くなることが輪をかけて体に悪影響を及ぼします。睡眠で大事なのは、毎日十分な量を取り起床時刻を一定にすること。人間の体内時計は、日光を浴びることで毎日リセットされるので、起床時刻のズレは前後2時間以内に収めるのがいい。
また、睡眠の中央時刻を一定にするのも大事です。午前零時に寝て、朝6時に起きる人の中央時刻は午前3時。この時刻にムラが生じると、“ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)”になる恐れがあります」(坪田氏)
ソーシャル・ジェットラグとは、平日と休日の睡眠リズムのズレによって時差ボケのような不調が生じる状態のこと。不規則で長時間の睡眠は、さまざまな病気リスクを跳ね上げる。ある50代女性が話す。
「平日の睡眠不足を補うために、土日は昼すぎまで寝る活を10年以上続けました。ある日、異様な喉の渇きとだるさで倒れ、即入院。重度の2型糖尿病でした」
◆短時間の昼寝が効果的
ソーシャル・ジェットラグは、この女性が患った糖尿病のほか、心血管疾患や認知症のリスクを飛躍的に増大させる。ボストン大学の研究では、習慣的に9時間以上の睡眠を取る人は、9時間未満の人に比べて10年以内の認知症発症リスクが2倍に増大することがわかっている。睡眠時間が不足しているなら、寝だめではなくむしろ短時間の昼寝が効果的だ。坪田氏が続ける。「30分以内の昼寝をする人の認知症リスクは低いことが知られています。人間には眠気のピークが一日に夜と午後の2回ある。昼食後に短時間の睡眠を挟むことで、午後の時間帯をより活動的に過ごすことができ、夜の睡眠が深く良質になりやすい。
一方で1時間以上昼寝すると、目覚めた後、脳や体が十分に覚醒しない睡眠慣性が1時間以上も続き、夜の睡眠の質を下げてしまいます。睡眠は不足しても、多すぎても認知症リスクを高めるのです」
不足も毒、過多でも毒となるのが睡眠。寝だめはその両取りの悪手なのだ。

