◆譲れるなら、とっくに譲っているのに…
街灯の少ない田舎道を走っていた松岡結衣さん(仮名・20代)。お気に入りの音楽を流しながら、穏やかな時間を過ごしていた。しかし、バックミラーが突然、白く光ったという。
「黒いプリウスが、いつの間にか後ろにいました。パッシングが始まり、光がミラー越しに突き刺さるような感じだったんです。この道は追い越し禁止区間で、横に避けるスペースはありませんでした」
松岡さんは、「譲れるなら、とっくに譲っているのに……」と思いながら、焦りと苛立ちが入り混じり、流していた音楽も耳に入らなくなっていた。
やがて、プリウスはクラクションを鳴らしながら、無理やり追い抜いていったようだ。横を通り過ぎる瞬間、車体があまりにも近く、思わず息を止めた。
◆数分後、前方にパトカーが…
そして、数分後のことだった。「前方に車が2台止まっているのが見えました。近づくと赤色灯が光っていたんです。パトカーと、あの黒いプリウスでした」
取り締まりを受けているらしく、運転席の男性は警察官の話を聞いていたそうだ。
「無茶すると、やっぱりこうなるんだな」
松岡さんの胸の奥に残っていた“ざらつき”は、少しずつ消えていったという。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

