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高市早苗総理の「演説」は何が違うのか? 若者を熱狂させる“推し活”の心理と「感情を届ける」スピーチ術

高市早苗総理の「演説」は何が違うのか? 若者を熱狂させる“推し活”の心理と「感情を届ける」スピーチ術

日本憲政史における初の女性首相、高市早苗。去る2月8日衆院選を未曾有の与党大勝利で飾ったことは記憶に新しく、その支持率も以前よりは落ち着いたものの、比較的高水準である(※2026年3月時点)。対米・対中関係などで少なからず賛否あるが、イラン情勢も含めた数多くの国難に取り組んでおり、日本国内のみならず世界中から注目される女性リーダーである。

衆院選大勝の要因は野党側の誤算やSNSの影響など複数考えられるが、高市首相の発言や演説そのものが若年層中心に共感を呼んだ点も無視できない。中でも、選挙活動中に高市首相の車両を大群衆が取り囲んでいる映像は象徴的なものであり、SNSでは膨大なインプレッションと高評価をかき集めた。

一方、一般市民の私達も仕事上の会議・プレゼン、公的なスピーチ、イベントや広報活動など、何らかの形で不特定多数に向けて話をすることは少なくない。こうした場面を上手に切り抜けて成果を得るコツを、高市首相や他の政治家の『話し方』から学べないだろうか?今回はキャリアデザイン・インターナショナル株式会社の代表取締役・渡邉文子氏に、「政治家と演説・スピーチ」について話を伺った。

高市早苗
参院予算委員会で答弁する高市早苗首相 ©産経新聞

◆「相手をジャガイモだと思え」はNG?

渡邉代表は現在でこそ公認心理師や国家資格キャリアコンサルタントとして多くの講演やプレゼンテーションを行っているが、ここに至るまでには多数の失敗を重ね、スピーチの上手な人にヒアリングするなど練習・学習を積んでいったそうだ。その過程で「本当に大事なのはテクニックじゃない」と強く実感したことを、代表は語った。

「『大勢の前でスピーチをする』と言うと特別なことのように感じられますけど、友人や同僚と普段どおり1対1で話している状況を、たくさん同時にやっていると考えれば、実はやっていることは同じなんです。人前で話すときの緊張対策で『聴衆をジャガイモだと思え』という助言が有名ですが、この考え方に私は反対です。むしろ大勢の前であっても、自分のスタンスを明確にしながら、一人ひとりと対話する感覚で話すことが大切だと思います」

「言いたいことだけ矢継早に喋るのでなく、周りの表情を見ながら『理解しているか』『共感しているか』を汲み取りながら話す姿勢を心がけてください。これがあると、スピーチは単なる情報伝達ではなく、コミュニケーションになります」

この姿勢が現代日本で最も力を発揮するのが、選挙における街頭演説だ。大勢相手でも一対一の気持ちで上手く話せれば良いが、選挙ではそれこそ膨大な数の人だかりに囲まれることも珍しくない。渡邉代表はプロの目線から、街頭演説をどのように見ているのか。

「演説の上手い方は聴衆のレスポンスにしっかり対話をしているような空気感があって、そうでない方と違いは如実ですね。選挙で票を投じる聞き手(国民)の側は、『本当に自分達のことを思って演説しているのか』『本気なのか、目的が違う所にあるのでは』といった点に本当に敏感です。演説で国民を惹きつける人は、このような聞き手の願望や心理を掬い取って、『私達を思って話してくれている!』と感じさせるのに長けています」

逆に言えば、どれだけ演説を美辞麗句で飾ったとしても、そこに確固とした自分なりの姿勢や聴衆とのコミュニケーションが無ければ「ただ票と人気が欲しいだけでは……?」と冷めた目線に晒されるだけである。今回衆院選の結果について、SNSやメディアなど一部が「推し活選挙」などと揶揄しているが、むしろ野党側こそ「なぜ国民の『推し』になれなかったか」を謙虚に振り返る必要があるだろう。

◆「冷静」と「情熱」のバランスが非常に巧い

渡邉文子
キャリアデザイン・インターナショナル株式会社の代表取締役・渡邉文子氏
ここからは衆院選にまつわる、各政治家の演説・スピーチの特徴・長所を探っていこう。まずは高市首相について、渡邉代表は「感情と冷静さの配分が上手い、非常に巧妙な話者」だと高評価している。

「一部の党の方々は思い切り感情を前面に出して話していますけど、高市さんは感情をしっかり込めつつ、且つそれを感情的に見せない点が強みです。話し手側に重要なのは、まず精神的に落ち着いていること。でないと相手や周囲の気持ちを考える余裕が無くなりますよね。そのうえで必要な感情を滲ませる、アンピバレントな語りを上手に出来るのが優れたスピーカーです」

その時のコツは、自分の主観だけでなく、演説している自分の姿を客観的・俯瞰的に眺める「外からの視点」を持つことだと渡邉代表は説明する。こうした話から筆者が連想したのは、「前に読んだ時代小説に登場する剣客が同じような精神修養をしていて、物凄くチャンバラが強いんだよな……」ということであった。

「自分の間合いや立ち回りを正確に掴もうとする点では、武芸や剣法と近い所もあるかも知れませんね(笑)。私自身も舞台上の演技に携わることがありますが、俳優の場合、内面では感情をリアルに感じる。しかし演技としては「見せ方」をコントロールするという、一見アンビバレントに聞こえますが、感情に飲まれず、感情を“使う”ことが重要になります」

政治家も役者も、聴衆(国民/観客)の気持ちをグッと引き込むのが仕事なのは同じ。渡邉代表いわく、「内側は強く感情、外側は冷静に制御」この“二層構造”が最も人を引き込むという。人は、内面(主観)と外面(表現)のバランスから、①この人は本気か?(感情)②この人は信頼できるか?(理性)を見ている。どちらか一方では足りないのだ。

例えば政治家は、信念や怒り、熱い希望を持っていても、言葉を整理し国民に届く形にする。つまり“感情を“伝わる形で翻訳できているか”が、信頼と支持を得る政治家に必要な能力となるのだ。ここについて渡邉代表は「高市首相は場面ごとに、話し方を巧みに使い分けている」「その場の空気を読む力がすごい」と指摘している。

「真剣に話した方がいい時は、りりしい表情で粛々と話されますし、ちょっと笑顔を入れた方が関係性が築きやすい場合は、ニッコリしたりとか。そうした点が、米国のトランプ大統領のように、関係性自体が大きく影響する方々と外交で渡り合っていくコツなのでしょう」


配信元: 日刊SPA!

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