
経営者の最大の才能は、セールスや商品開発といった「ゼロからイチを生む力」にあります。一方で、経理や財務といった「守りの業務」を、苦手意識を抱えたまま社長が抱え込み続けることは、会社にとって大きな機会損失です。社長が「売上をつくる仕事」に専念できる環境をどう整えるか。社外の立場から経営者の財務を支える「社外CFO」長友大典氏の著書『社外CFOになって、たちまち年収1200万円を稼ぐ方法』(すばる舎)より、中小企業の社長が抱える本音と社外CFOが果たす役割について解説します。
本当は売上づくりに専念したい…社長が抱える「3つ」の悩み
中小企業の社長は社内の“なんでも屋”…重要な業務が後回しに
中小企業の社長が日々抱えているタスクは、実に多岐にわたります。
[図表]社長の仕事の一部 出典:『社外CFOになって、たちまち年収1200万円を稼ぐ方法』(すばる舎)より抜粋
図表をご覧ください。セールス、仕入、人事、財務、クレーム対応から顧客サポートまで、まさに社内の“なんでも屋”状態です。これでは、本来やるべき「売上をつくる仕事」に集中する時間をなかなか確保できません。
「セールスに専念できたら、もっと会社の売上を伸ばせるのに……」
これは、多くの社長が口をそろえて言う本音です。しかし現実には、日々の資金繰りや社内の人事問題、顧客のクレーム対応などに追われ、セールスやマーケティングで将来の売上をつくる活動があとまわしになっています。
なかでも社長がとりわけストレスを感じるのが、お金に関する仕事です。なぜかと言えば、多くの社長はセールスやマーケティング、商品開発が好きだから独立したり開業したりしたのであって、経理や会計、財務といったお金に関する業務を得意としているわけではないからです。
お金に関する業務はあまりしたことがないために、何をどうしてよいのかわからない、という悩みを抱えているケースが驚くほど多くあります。
本来“しっかり取っておくべき”だが…「報酬」を知られることに抵抗感がある
またこのほかにも、非常に多くの社長が密かにストレスを感じていることがひとつあります。それは、役員報酬や社長の交際費の情報を、自社の社員に知られることです。
多くの社長が、この点に強い抵抗感を抱いています。社内の経理担当者にさえ自分の報酬額を明かすのがイヤで、わざわざ自分で通帳の管理や振込業務をしている社長もいます。社員から「社長だけはこんなに報酬を取っているなんて、ずるい」と思われたくない気持ちが強く働くのです。
財務的な視点から言えば、社長報酬はむしろ「しっかりと取っておくべき」ものです。それはたとえば、銀行から見たときに「社長が報酬をきちんと得ている会社」は資金がまわっている健全な企業と評価されやすいために、報酬自体が“保全”と見なされる部分があるからです。
交際費は「投資」…社外CFOが社長の“誤解”を解く
また社長の交際費についても、一律に“悪い”とされるべきではないでしょう。将来的な売上づくりや取引先との関係構築のために必要な交際費は、「投資」と見なせるため、「よい交際費」と言えます。ただの「浪費」である「悪い交際費」とはまったく違います。
ただ、それを社長が社内で説明しても、社員にはなかなか理解されません。「ただ、社長が遊びたいだけでしょう?」などと思われてしまうリスクがあります。多くの社長は、そのリスクを嫌うのです。
だからこそ、社外CFOの存在が社長にとって大きなものとなります。外部の立場から、報酬や交際費の妥当性を財務的な視点で説明することで、社内の理解を得やすくなります。経理担当者との橋わたし役や社員への説明役として、社長が言いづらいことを代弁できる、というのは大きな強みです。
社長の本来の仕事は「未来を描くこと」と「売上をつくること」。その時間を取り戻すためにも、社外CFOは“外部のパートナー”として、経営改善のスピードを速める存在となることをめざしましょう。
長友 大典
中小専属CFO養成アカデミー 主宰
社外CFO・財務コンサルタント
有限会社トークファイブ 代表取締役
