
『TOKYOタクシー』
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
新たな出会いに少し緊張したり、心躍らせたり、何かと気忙しい春。さまざまなご縁が生まれるこの季節に観たい、出会いを描いた心温まる映画や前向きになれる映画を紹介します。
倍賞千恵子と木村拓哉が主演、乗客と運転手の一日の旅
『TOKYOタクシー』
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
フランス映画『パリタクシー』を原作に、『男はつらいよ』シリーズの山田洋次監督が、倍賞千恵子と木村拓哉を主演に迎えて撮ったヒューマンドラマ。
個人タクシーの運転手、宇佐美浩二(木村拓哉)は、中学生の愛娘が推薦入試で志望する高校に入れそうだと聞いて喜ぶ半面、高額な入学金に頭を悩ませてしまいます。そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込みます。
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
浩二は、ちょっと無愛想な運転手。この日は他の運転手の代理だったこともあり、話の行き違いから、すみれに態度が悪いとたしなめられます。しかし、すみれは「笑顔が素敵」とも言い、「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と寄り道を依頼します。
さまざまな場所を巡りながら、思い出を語るすみれ。タクシー運転手と乗客の他愛ない会話、という内容ではなく、あまりに壮絶な過去の物語で、それを聞いた浩二も次第にすみれに心を許していきます。そして夜も更け、葉山に到着。たった一日の旅は二人の心に大切に刻まれ、人生を大きく動かしていくことになるのでした。
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
若き日のすみれ(蒼井優)のシーンが挟まれるものの、大部分が浩二とすみれの会話からなる本作。浩二を名残惜しそうに見つめるすみれが印象深く、倍賞千恵子は今年3月に行われた第49回日本アカデミー賞で45年ぶり2回目の最優秀主演女優賞に輝きました。
木村拓哉は、夜勤で疲れたお父さんの風情があり、マダムの話に渋々付き合いながらも次第に心を寄せていく過程を表情で見せていて、ラストシーンの顔のアップが心に残ります。日頃はヒーロー役の印象が強い木村ですが、こうした自然体の役柄で相手を受ける演技が見事でした。
過ごした時間は一瞬でも、かけがえのない宝物になることもある。心がじんわりする物語です。

『TOKYOタクシー』
2025年製作
発売日 2026年5月20日
Blu-ray ¥5,720/DVD ¥4,620
発売・販売元:松竹
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
自分を変えてくれるのは出会い? それとも自分自身?
『わたしは最悪。』
『わたしは最悪。』
© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-REEL – ARTE FRANCE CINEMA
ノルウェーのオスロに住む29歳のユリヤは、成績優秀で医学部に行ったものの「肉体より魂に興味がある」と心理学に転向し、さらには大学を辞めてカメラマンの道を目指すなど、まもなく30歳になろうというのに決定的な道が定まらず、モヤモヤした日々を過ごしていました。そんなある日、グラフィックノベル作家のアクセルと出会い、恋に落ちます。
『わたしは最悪。』
© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-REEL – ARTE FRANCE CINEMA
知的な恋人との出会いで人生が変わるかと思いきや、44歳の彼は子どもを欲しがり、ユリヤに妻や母になることを勧めてきます。まだそこまで考えていないユリヤは、招待されてもいないパーティに紛れ込み、若いアイヴィンと出会い、新たな恋へと乗り換えますが……。
『わたしは最悪。』
© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-REEL – ARTE FRANCE CINEMA
はたから見れば、好きなことをして、恋人もいて、と恵まれているユリヤ。でも、彼女は自分自身が何をしたいのかわからず、こっちに進めば変われるかも、新しい出会いで変われるかも、と期待するものの、何も変わらないことに苛立っています。世間の注目を集めるアクセルの横で、自分は脇役のような存在だということを痛烈に感じ、逃げ出しくなるユリヤ。そんな彼女の気持ちがなんとなくわかる、と思う女性は多いのではないでしょうか。
『わたしは最悪。』
© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-REEL – ARTE FRANCE CINEMA
出会っては壊し、別の出会いを求めてはまた壊すユリヤの姿は、現代の若い女性のリアルを描いていると大きな共感を呼び、主演のレナーテ・レインスヴェが第74回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞。監督・脚本を務めたヨアキム・トリアーは第94回アカデミー賞で脚本賞に、作品自体も国際長編映画賞にノミネートされました。

『わたしは最悪。』
2021年製作
Blu-ray ¥5,280/DVD ¥4,180
発売・販売元:ギャガ
© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-REEL – ARTE FRANCE CINEMA

