美味しい料理とワインほど相乗効果が働くものはない。
食が酒を呼び、酒が食欲を湧かせる。そんな至福の時間を楽しむ最適解がここに。
あえてリストを置かずにゲストとのコミュニケーションを取りながらワインを提案。ワインはボトル¥5,500~、グラス¥1,100~
店主が仕掛ける美食の罠。センスしかないワイン選びが無限ループへと誘う
イタリアワインの魅力は、その多様性にある。
2,000を超える土着品種、州によって異なる気候風土が生み出す個性的な味わいがありながら、合わせる食のジャンルを選ばないフードフレンドリーさも、世界中のワインラバーを魅了している理由のひとつ。
中央に写るイタリアの「ヴァルポリチェッラ リパッソ 2020 ヴァントロッソ」はじめ、料理に合うフレッシュな酸を感じられるワインなどがそろう
神楽坂『TROMBA』の店主、佐藤将貴さんが扱うのは7割がイタリアのもの。
これまで間借りのワインバーを営んだこともあるが、この店ではワインのセレクトだけでなく、同様に料理にも力を注ぐ。
「ラムとチーズのハンバーグフェンネルクリームソース」¥3,700。「モンツィオ・コンパニョーニ」(グラス¥1,100)のシャルドネを。綺麗な酸がラムの個性を気品に変える、ひねりの効いたマリアージュ
人気のラム肉を使ったハンバーグやシンプルに牛肉の旨みを生かしたパスタなど、クラシカルな造りのワインと呼応する料理が食いしん坊たちのハートに命中。
「ボロネーゼのタリアテッレ」¥2,300。牛挽肉に加え、牛スジが食感のアクセントに。ネッビオーロを合わせれば、北イタリアの力強さを体現するマリアージュが生まれる
イタリアのほか、ドイツやアメリカのワインもゲストの好みに合わせて。
ゆるやかにカーブした6席のカウンターから生まれる、心地良いグルーヴ感に身を委ねたい。
「カンティーネ・グリーノ ドン・ヌッツォ」グラス¥1,200。
イタリアでもっとも古いブドウ品種のひとつ、モスカートを使う。黒糖のような甘みが心地良い。
2.東銀座の路地に潜む、知る人ぞ知る人気ビストロ
『Ginza Machi Pon』
東銀座と新富町の中間あたりに位置。賑やかな雰囲気が外まで伝わる“いい店”のオーラに、嗅覚鋭いワイン好きが吸い寄せられていく
小路にもれ出る「美食」の気配。あの人気店仕込みの料理とワインは想像を超えてくる
正統派ビストロの醍醐味といえば、「たらふく食べて飲んで、美味しくて安い」ことだろう。そんな食道楽やワインラバーの理想を体現した店が、ここ『Ginza Machi Pon』だ。
店を営むのは、オーナーシェフの池田崇之さんとソムリエの真知子さん夫妻。ふたりはともに『ポンデュガール』で切磋琢磨し、店の閉店に伴い独立した。
黒板にずらりと書かれたメニューには心が躍り、明快なワインの解説には安心して身を委ねられる、そして、驚くような値付けに驚かされる。
料理はフレンチやイタリアンをベースに、「ワインに合うものならなんでも」と和食の技法を取り入れるなどジャンルに捉われない逸品が満載。メニューによってはハーフポーションも可能な柔軟さも嬉しい。
オムレツにはスッキリとしたアリゴテがツウ
名物の「フォアグラ入りオムレツ」¥980。
「アルノー・バイヨ ブルゴーニュ・アリゴテ」のシャープな酸の奥にあるまろみが、たまごやフォアグラのコクと重なる。
エスカルゴはあえての“ピノ”でエレガントに!
「エスカルゴのブルギニヨンバター」(¥950)にはエレガントな酸の「クロズリー・デ・リ」のピノ・ノワールを合わせるセンスの良さ。
しいたけの旨みを存分に引き出すボルドー・ブラン
「肉厚しいたけのペペロンチーノ」(¥1,480)に、「シャトー ブリュルセカイユ」のボルドー・ブランが、しいたけの旨みを最大限に引き上げる。
味のイメージが湧きやすい真知子さんの解説も評判。ワインを2杯以上飲める人のみが来店を許されるが、この解説を聞けば次々とワインを注文したくなるはず
「ガブガブ飲んでほしい」からワインはボトル¥5,000台、グラス¥1,000~でそろえる。
ワイン好きな仲間とお腹をすかせて集いたい、“銀座の良心”なる一軒だ。
「シャトー デ ゼサール キュヴェ フラヴィ」(¥980)は、「濃厚メープルクレームブリュレ」と合わせたい。
デザートのミルク感と貴腐ワイン独特のクリーミーな口当たりが贅沢に調和する。
3.実力派夫婦が十番で魅せるフレンチ割烹
『たそがれ』
たった7席のみのカウンター空間。「黄昏どきにここを訪れて、楽しい時間を過ごしてほしい」という素敵な想いが店名に込められている
美食家好みのエッジの効いたペアリング。ユニークな逸品との完璧な相性に驚く
『たそがれ』のオーダーは黒板メニューから。「にしんのレアチーズケーキ」に「あん肝の赤ワイン煮」など好奇心をくすぐる品々に釘付け。
オーナーシェフの双川洋利さん
「人と同じことをしたくない性格で」と笑うシェフの双川洋利さんは青山『カンセイ』、四谷『北島亭』などフレンチの名店で腕を磨いた実力派。
ゆえに一見奇をてらったようなメニューでも、丁寧さと技術の良さが伝わる実直な美味しさに魅了される。
樽の利いたシャルドネ(¥1,500)は、油分豊かな料理でこそ真価を発揮する。
カレー粉を利かせた「カキのムニエル」(¥2,000)とは絶妙で、ハッシュポテトの脂をワインが心地良く流し、次のひと口を誘う。
名物「にしんのレアチーズケーキ」(¥1,500)にはサンセールの白(¥2,000)を。
魚の酸味とチーズのコクが、果実味豊かな1本と見事に調和。
「あん肝の赤ワイン煮」(¥2,000)には南仏の赤(¥1,500)が秀逸。
カベルネとシラーの力強いタンニンが、あん肝の濃厚な脂分の旨みを深める。センス抜群の大人の晩酌が待っている。
奥様の緑子さんは『北島亭』出身のソムリエ
ワインは奥様の緑子さんが担当。「フランスを中心に美味しければニューワールドも」と、料理同様にフレンチの枠を超えたセレクトが並ぶ。
優しい味わいの料理に寄り添う提案でワインの奥深さを教えてくれる。
アルコール度数が6.5%と低く、甘くメロンや桃のようなフルーティな味わいがデザート代わりにも最適なドイツの「シャルドネアイスワイン」グラス¥800。
4.広尾商店街裏で花開いた予約不可のイタリアン
『すず』
真っすぐな人柄が伝わる料理と笑顔が魅力の矢花さん。料理とワインの提案をワンオペでこなす。来店はウォークインのみ。思いついたときに美食にありつけるのが嬉しい
温もり宿る料理と秘められた緻密な計算に舌を巻く
元々町中華だった名残から、軒先の赤いテントや中華仕様の厨房など、面影が所々に残りどこか懐かしい温もりに満ちている『すず』。
店主の矢花すずさんは、『三笠会館』のイタリア料理店や、日本橋『ラ・ボンヌ・ターブル』などで腕を磨き、宮崎県の都萬牛の生産者の元で精肉加工を学ぶなど、30歳にして経験は骨太。
そんな彼女が繰り出す料理は、野菜の旨みや甘みを活かしたイタリアンベースの家庭料理。フランスの田舎料理から果物のぬか漬けまで、メニューには自由で繊細な感性が溢れる。
ブドウの皮の旨みがしっかりとのったガルガーネガ(¥1,700)は、無農薬レモンソースの「伊勢赤鶏の鶏バター」(¥3,300)を合わせて旨みの相乗効果を。
ロワールのガメイ(¥1,400)のイチゴのようなピュアな酸と、能登の「高農園」のフルティカトマトを使った「カレティエッラ」(¥2,600)が持つ凝縮された酸味が見事に共鳴。互いを高め合う洗練の組み合わせ。
日照量が生かされたドライなアルザスのリースリング(¥1,300)は、「ホタテとフェンネル 洋梨のマリネ」(¥2,800)とともに。
ホタテの甘みをワインのミネラル感が引き締める。
“ぬか漬け飲み”にハマる人続出
野菜やフルーツを漬けた色とりどりの「すずのぬか漬け」も人気の逸品。
ワインは自然派。グラスは泡白赤で5~6種類ほど用意
さりげない逸品と自然派ワインの妙が美味しく心地良く、毎日通いたくなる。
「アルマニャック ドメーヌ・ボワニエル2001」グラス¥2,000。
ミルクチョコのようなフレーバーでデザートとの相性も◎。度数高めなので、ゆっくり味わいたい。
▶このほか:鮨とペアリングで2人150万円。ロマネ・コンティ、サロンが並ぶ“弩級コース”の実態とは


