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「マンションに問題がある、では修繕工事をしよう」と安易に考えてはいけないワケ【一級建築士の警告】

「マンションに問題がある、では修繕工事をしよう」と安易に考えてはいけないワケ【一級建築士の警告】

不動産価格の高騰が続く現在、自宅マンションは立派な資産です。その価値を保つためにも、高額な費用をかけて修繕工事をしようと考えている人もいるかもしれません。ただし、住人が毎月必死に納めている修繕積立金は1円も無駄にできないでしょう。そこで今回、一級建築士で自宅マンションの管理組合理事長を務めた建山晃氏の著書『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)より、修繕金の金額を抑える方法を紹介します。

マンションの修繕で「まず考えなければならない」こと

さて、今から大規模修繕を始めるとする。最初に考えるのは修繕金、お金のことだ。これについては以下の選択肢を考えてもらいたい。

(1)全て無償で直す

(2)工事費を管理組合(修繕積立金)が一部負担して直す

(3)工事費を保険でまかなう

(4)工事費を管理組合(修繕積立金)が全額負担して直す

(5)工事費を管理組合が銀行から借り入れをして直す

(6)工事費を住民から一時金として徴収して直す

(7)補助金、助成金を使って直す

まずは(1)の「無償で直す」ことを考えたい。

手段としては、保証期間と法律の活用である。

保証は新築工事だけでなく、大規模修繕工事後にも発生する。前回の工事の竣工書類に保証書が入っているので確認してもらいたい。販売会社にもよるが、全ての箇所で2年、防水・躯体については10年が一般的である。

保証期間を過ぎている場合は、建物の瑕疵について販売会社、設計事務所、施工会社の責任を問うために調査し交渉して無償で直すことが理想になる。

竣工書類に悪い記録は残さないのでは、と思うかもしれないが、プロが見れば管理記録からどの程度現場に来て監理業務をしていたかは一目でわかる。

裁判になれば裁判所は基本的に和解を勧めるが、その場合は(2)の一部負担で直すことになるだろう。その際に記録は大きな武器になる。民法上、相手の責任を問えるのは20年なので、この期間内での対応になる。

「マンションに問題がある、では修繕工事をしよう」と、安易に考えてはいけない。それが経年劣化なのか初期不良なのかをまず考えよう。

お金を出すのはいつでもできるので、相手の責任の有無を第一に考えるべきである。

(3)の保険で直すことについては、各自で入っている専有部の保険と管理組合が入っている共用部の保険があるので、使い方は考えなくてはならない。

また、下請けの専門業者が入れる専門工事業総合補償制度の中の「長期性能保証」に入っていればそれも活用したい。全ての工種にはあてはまらないが、タイル・防水・屋根板金などが含まれる。

(4)の工事費を管理組合(修繕積立金)が全額負担で直すことは、竣工から20年が過ぎていれば仕方ないが、そのときは「修繕積立金詐欺」に遭わないようにしたい。

(5)(6)については、かなり深刻な財政状態だと見受けられる。修繕積立金の不足が原因なので、マンション個別の事情をふまえたうえで長期修繕計画を再度検討し、それでも足りなければ、なるべく早く積立金の値上げを検討・実行すべきである。

(7)の補助金と助成金については、本記事の最後に一覧で示したため参照してほしい。

助成金と補助金を使った大規模修繕工事

大規模修繕工事には多額の費用がかかるので、国および地方公共団体は助成金と補助金を出して支援をしている。助成金は建物が一定の基準を満たしていれば必ずもらえるものであるが、補助金は申請して審査を通らないともらえない。両方とも国と都道府県のものがあり地域により異なるので、個別に調べてほしい。助成金の申請はそれほど難しくないが、補助金の申請は金額が大きいためかなり難しい。

国の補助金は国交省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」「子育てグリーン住宅支援事業」、環境省・経産省の「先進的窓リノベ事業」、経産省の「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」などがあり、それぞれ窓口が違うので、概要くらいは管理組合でも調べるべきだろう。各部署に電話で尋ねることもできる。

補助金の詳細の説明はこの本の主旨とは異なるので、概要と申請の注意点のみ書きたいと思う。

長期優良住宅化リフォーム推進事業(国交省)

この事業の目的は、個人住宅や共同住宅をリフォームすることで長命化に資する優良な取り組みに対し、国が費用の一部を支援することである。

大規模修繕工事の補助金はこの事業を中心に考えるべきで、そこに他の省や課の補助金をプラスすることで、より多くの補助金をもらえることになる。

内容については国交省のホームページに詳しく載っているが、かなり読み込まないと理解できないので要件の詳細はコンサルタント会社にお任せして、管理組合としては概要だけでも把握しておくべきだろう。

そこで最後に、マンション大規模修繕工事における該当項目を記しておく。

(1)構造躯体等の劣化対策

・構造体の劣化防止用の塗装など

(2)耐震性(耐震性不足の建物)

・構造体の補強

(3)省エネルギー対策

・遮熱断熱サッシへの交換

・壁の断熱材の設置

(4)維持管理

・更新の容易性

・給水・配水管の更新

(5)高齢者等対策(共同住宅のみ)

・共用廊下の幅員の確保

(6)可変性(共同住宅のみ)

・天井高さの確保ほか

・その他性能向上リフォーム工事

(7)インスペクション(既存住宅状況調査報告書)で指摘を受けた箇所の改修工事

・外壁・屋根の塗装張り替え・雨樋の取り替え

・バリアフリー改修工事

・高齢化に備えた住まいの改修工事(個人が対象)

・テレワーク環境整備改修工事(個人が対象)

建山 晃
1級建築士

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