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給料4万円のはずが、うっかり「40万円」を誤振込…電話・LINE全無視で“逃げ切り”を狙う元従業員の財産を差し押さえる「最終手段」【弁護士が解説】

給料4万円のはずが、うっかり「40万円」を誤振込…電話・LINE全無視で“逃げ切り”を狙う元従業員の財産を差し押さえる「最終手段」【弁護士が解説】

督促状など書面を送り、過払い分を請求する

元従業員が電話やLINEに応じない場合、効果的な手段は「書面での督促」です。

具体的には、督促状で返還を求める方法が一般的です。督促状の送付に際して、内容証明郵便(誰が・いつ・どんな内容の郵便を誰に送ったのかを郵便局が証明する制度)の利用も検討してください。

この書面には以下を明記します。

・誤振込であること、返還を求める法的根拠(不当利得)

・返還期限を定めること

・返還に応じない場合は、遅延損害金も請求すること

・弁護士への依頼や訴訟提起も検討していること

これにより「口頭でのお願い」よりもはるかに強いプレッシャーを与えられます。それでも応じない場合は、次の法的手段を検討します。

・少額訴訟:請求額が60万円以下なら、原則1回の期日で迅速に判決が出る制度。

・通常訴訟(簡易裁判所):請求額が140万円以下の場合。

・支払督促:簡易裁判所に申し立て、裁判所書記官が支払いを命じる簡易手続。相手が異議を出さなければ、仮執行宣言を得て強制執行が可能。

訴訟や支払督促は「泣き寝入り」にならないための実効的な手段です。費用対効果を考慮しつつ、どの手続を選ぶかを検討する必要があります。

「過払い金は使ってしまった」といわれても諦めないで

元従業員が「すでに使ってしまった」と主張した場合でも、返還義務は消えません。もちろん、現実に資力がない場合はすぐに回収できないこともあります。

ただし、「お金がない」といっても、実際にはほかの職場で働いていたり、預金を隠していたりするケースも少なくありません。

判決を取得すれば、強制執行手続をとることができます。財産を特定するためには「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続」など、民事執行法上の制度を活用可能です。

財産開示手続では、裁判所が債務者を呼び出し、預貯金・勤務先・不動産などの財産状況を明らかにさせます。虚偽の申告をすれば6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金の制裁を受ける可能性もあります。

誤振込で損失を受けた経営者が「お金がない」という言い訳をそのまま受け入れる必要はありません。粘り強く、法的制度を活用しながら回収を目指すことが重要です。

弁護士法人かける法律事務所

代表弁護士 細井 大輔

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