今週のテーマは「“忙しい”と言う男の本音は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:デートは1ヶ月おき、LINEはするけど全然会えない…「忙しい男」の本音とは?
木曜22時過ぎ。お風呂上がりにベッドの上でパックをしながらスマホを見ると、健太からLINEが届いた。
― 健太:今週バタバタしてた。来週どこかで、ご飯行こう。
SNSを見ながら、画面をスクロールした瞬間に、うっかり通知に来たLINEを開いてしまった。本当は、こういうタイミングでは既読をつけたくない。極力長く未読で置いておきたい。
でも見てしまった以上、仕方ない。
少し小さなため息をつきながら、私はベッドにスマホを放り投げた。
「来週どこかで、か…」
この「どこかで」という言葉が、どうにも引っかかる。一体、いつのことを指すのだろうか。
でも「いつ?」と聞くのは、なんか重い気がする。「詰められている」と思われたくない。だからしばらく悩んで、私が返したのは、
― 杏:そうなんだ、忙しいんだね。
これだけだった。
健太と出会ったのは、マッチングアプリだった。「いいね」が来たので、健太のプロフィールを確認する。
塩顔でスーツがよく似合っている写真に、悪くない年収。私からは「ありがとう」を返し、マッチした私たち。少しやりとりをした後で、私たちはすぐに会うことになった。
「杏さんは、お仕事は何をされているんですか?」
「保険会社の総合職です。健太さんは?」
「僕はコンサルです」
「え〜すごい、優秀!でもお忙しそうですよね」
丸の内で保険会社に勤める私と、コンサルで働く32歳の健太。
普通だったら接点なんてないと思う。でもこういった、新たな素敵な人たちに会えるのがマッチングアプリの良いところだ。
「まあ、忙しいは忙しいですけどね。でも、その分やりがいはあって」
そう言う健太が、とても格好よく見えた。
この日はホテルのラウンジでお茶だったので、すぐに食事へ行くことになった私たち。
正式な初デートは、神楽坂のとても素敵な和食屋さんへ連れて行ってくれた健太。この日もとても盛り上がり、「もはやこのまま付き合うのかな…?」なんていう期待すら抱くほどだった。
そしてこの日以降、何となくLINEを続けており、良いムードで進んでいた。
しかし、なかなか次のデートの誘いが来ない。
― あれ?そういえば、次のデートの約束してないよね…?
そう思った。
しかし、そんな不安を抱き始めたタイミングで、健太から金曜の夜に突然「今から飲まない?」と連絡が来た。
― 健太:当日にごめん!急遽用事が早く終わりそうなんだけど、この後で杏ちゃん、会えたりしないかな?
正直、健太から連絡が来て喜んでしまった自分がいる。
でも、金曜の夜に突然呼ばれてホイホイ行くのは安い女だと言うことはわかっている。
ただ、健太とはなかなか会えないから、会える時間は大切にしたい。
そう思ったので、健太が指定してきた六本木のバーで22時半から会うことにした。
「ごめんね、突然呼び出して。杏ちゃんが、空いていて良かった」
「ちょうど解散して、家へ戻ろうとしていた所だったので、良かったです」
「ナイスタイミング」
「健太さんは?何をしていたんですか?」
「僕はクライアントと会食があったんだけど、予想より早く終わったから連絡しちゃった」
「連絡もらえて、嬉しいです」
― この一言は、余計だったかな。
そう思ったけれど、健太はとても嬉しそうにしているし、本当に会食だったのだろう。
それに急だったけれど、会えたことに変わりはない。
「でも、健太さんって本当にお忙しいんですね」
「そうなんだよ。ごめんね、なかなか会えなくて」
そんな会話が続いた。
しかしこの後も、連絡は来るものの具体的に会う日程を何も提示してこない健太。
― これって、会う気あるのかな?それとも単純に、私に対する優先度が低いのかな。
最初はグイグイと、テンポよく来ていた。しかし当日の誘いに、軽く乗ったから興味が薄れたのだろうか。そんな気持ちになってしまった。
時間が経つにつれて、私たちの間には、じわじわと静かな距離ができていった気がする。
でも別に、どちらかが悪いわけじゃない。ただ、二人の間の空気が少しずつ薄くなっていく…そんな感じだった。
― 健太:また間が空いてしまってごめん!杏ちゃん、最近は忙しい?
― 杏:元気ですよ。健太さん、お忙しそうなで、連絡控えておりました。元気ですか?またご飯行きましょうね☺️
毎回、こんなLINEは来る。でも、「また来週か再来週あたりに」という言い方で終わる。
最初は「コンサルって本当に忙しいんだな」と思っていた。
でも3回目のデートが1ヶ月以上空いた頃から、私の中に少しずつ疑問が芽生えてきた。
― 本当に忙しいの?それとも、私の優先度が低いだけ?
もちろん、直接は聞けない。
仮に「私って、優先されているのかな?」なんて聞いた日には、それこそ重い女認定だ。
だから私は、LINEの既読がつくタイミング、返信の速さ、文章の温度感などで彼の気持ちを読もうとしていた。
既読が早い日は「今日は少し余裕があるのかも」とか、返信が短文のときは「疲れているのかな、それとも気持ちが冷めた?」というように…。
しかし、そんなことを毎回しているうちに、疲れてきた。
― なんで向こうの予定に振り回されないといけないんだろう?
そう思い始めた。
そしてようやく迎えた1ヶ月ぶりのデート。健太は、麻布十番の『B-TRE』というとても素敵なところへ連れて行ってくれた。健太の余裕を感じる。
「何だか久しぶりだね。元気だった?」
「そうですよね。元気といえば元気ですし…普通です。健太さんは?」
「本当に忙しくて。新しいプロジェクト任されて」
「すごいですね!」
「忙しい」という言葉は、使い方によっては万能だ。断る理由にも、曖昧にしたい関係に対する言い訳にもなる。
私には、健太の「忙しい」がどの種類なのか、正直わからなかった。
本当に忙しいのか、私のことを後回しにしているのか、それともフェードアウトへの助走なのか…。
ただ、このデートの会話で、私は驚いたことがある。
「杏ちゃんって、束縛とかしないタイプだよね?」
「はい、しないと思います。でも健太さんもしなさそう」
「しないけど、でも付き合ったら意外にマメだよ」
― え?じゃあ私には興味ないってこと?
連絡は取るけれど、マメというほどではない。加えて、デートの間隔が1ヶ月以上空いている時点で、答えは出ている気がしてきた。
運ばれてきた、美味しい「赤エビとウニのトンナレッリ」を食べながら、頭の中でグルグルといろんな思いが巡る。
会うと、とても楽しい。でも、次の具体的な誘いがなく、会う頻度も低い。たぶん、これが答えだ。
この日ももう1軒近くのバーへ行き、気がついた時には24時を過ぎていた。
「遅くまでごめんね。今日はありがとう」
「こちらこそです。ご馳走さまでした」
「本当に大丈夫?ちゃんと帰れる?」
「大人ですし、大丈夫ですよ(笑)。ありがとうございました」
「うん、じゃあまたすぐにね」
― その“すぐに”はいつですか?
忙しい中でも時間を作ろうとする、その具体的なアクションこそが、相手への誠意になると思う。
私も「来週の何曜日ですか?」と聞きたかった。本当は「会いたい」と言いたかった。
でも言えなかった。
健太と何となく自然消滅になってから考えてみたけれど、私は私で、「察してほしい」と思いながら、察してもらうためのヒントを何も出していなかったと反省している。
私の方も、“男性から誘って欲しい”という、無駄な理想とプライドがあったことは否めない。
だから、今回に限ってはお互いさま。
「次は、もっと積極的に動こう。予定だって、別に聞いてもいいじゃない」
そう自分に言い聞かせながら、私は次の恋を探すことにした。
▶【Q】はこちら:デートは1ヶ月おき、LINEはするけど全然会えない…「忙しい男」の本音とは?
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT:5月2日 土曜更新予定
週末に連絡が取れない男は…

