嚥下食へのマイナスなイメージを払拭したい、楽しく食べることを諦めてほしくない
――医療や介護の世界では広く知られている嚥下障害や嚥下食ですが、社会全体で考えると、まだ認知度は低いように感じます。
近石:おっしゃる通りです。高齢化の進行に伴い嚥下食のニーズや市場規模は確実に広がっているにもかかわらず、実際に嚥下食を提供できる飲食店やホテルはほとんどありません。もし外食の場で嚥下食を選べたり、コンビニなどで手軽に購入できる商品が普及したりすれば、認知度は格段に高まり、当事者やご家族にとっても大きな安心につながるはずです。
――他に嚥下障害や嚥下食に関して、社会全体が考えるべき課題はありますか。
近石:嚥下食は知っているけれど、ペースト食の見た目のイメージもあって、「病院で食べるもの」と、マイナスなイメージを抱いている方も多いと思います。また、嚥下障害がある当事者やご家族も、楽しく食べることを諦めている傾向が強いと感じています。
現在、企業と協力して、「嚥下食をみんなでおいしく食べること」を目的にしたプロジェクトを立ち上げました。嚥下食のネガティブなイメージを変え、誰もが食べる喜びを分かち合える社会につなげていきたいと考えています。
誰もが食事を楽しめる社会になるために、私たち一人一人ができること
最後に、誰もが障害の有無にかかわらず食事を楽しみ、幸せな気持ちになれる社会になるために、私たち一人一人ができることを近石さんに伺いました。