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景気の展望を知りたい。だれの話を聞くべき?…経済評論家が教える「景気予測をする人たち」の特徴と意見の活用術

景気の展望を知りたい。だれの話を聞くべき?…経済評論家が教える「景気予測をする人たち」の特徴と意見の活用術

自分のビジネスの未来や、大切な資産の運用先などを考える場合、「景気」の展望を知ることは必須です。しかし、数えきれないほど専門家がいるなかで、自分が求める視点から発信する意見を探すのは大変です。ベテラン経済評論家の塚崎公義氏が、自分にとって参考になる意見を発信する専門家の見分け方を伝授します。

世の中に大勢いる「景気の話をする人」…4つに分類すると?

世の中に景気の話をする人は大勢いますが、筆者はその人たちを4つのグループに分けています。 

 第1  経済学者

まず、現実よりも理論を優先する経済学者です。主流派経済学者は「人々が合理的に行動するとすれば、何が起きるのか」を考えるのですが、実際には人々は合理的に行動しないので、彼らの理論は現実を説明できません。景気予想屋である筆者は彼らを「理路整然と間違える連中」と呼んでいますが、彼らはわれわれ景気予想屋を「勘ピューター」と呼んでいるかもしれませんね(笑)。

100年後くらいには、経済学と心理学の共同研究が進み、「人々が衝動買いをするという前提で、何が起きるのかを考える」等々が主流派になれば、経済学も使えるようになると期待しています。

もっとも、いまでも経済学を学ぶことは重要です。物事を論理的に考える訓練としては大いに役立つからです。実際、筆者も経済学の教科書を書いていますし、経済学の講義も行なっていました。

 第2  景気予想屋

そして景気予想屋です。経済学理論も少しは学びますが、なによりも活きた経済をしっかり見つめて、長年の経験と勘をフルに活用して「何が起きそうか予想する」のが仕事です。

「景気がよくなりそうだから、材料を多めに仕入れておこう」といったことを考える材料を提供するのが仕事です。筆者が銀行にいた時には、銀行自身が「景気が良くなると貸出が増えるだろう」「金利が上がりそうだから、固定金利での借入を増やしておこう」などと考える材料を提供していました。

 第3  株価の予想屋

株式投資をする人のために景気の話をするのが仕事です。彼らについては後述します。

 第4  トンデモ屋

いつでも株価暴落や大恐慌を予言しつづけるトンデモ屋は、話が面白いのでマスコミに呼ばれたり本が売れたりしますし、一定程度の固定客が確保できます。そしてなにより、予測ではないので外れても怒られませんが、たまに当たると「以前から私が正しく予想していたとおりになりました」などと言えるわけです。これは、結構優れたビジネスモデルで、筆者ももう少し自尊心が少なければトライしてみたい仕事です(笑)。

「株価予想屋」は、限られたものを詳しく論じる

景気予想屋は、幅広い経済指標を眺めて景気の大きな流れを把握しようとしますが、株価予想屋は限られたもの(日米金融政策、米国雇用統計等)に神経を集中します。

たとえば鉱工業生産統計は、景気を見る上では重要ですが、株価予想屋はそれについてあまり語りません。駆け出しの景気予想屋だった頃の筆者は、それが不思議で仕方ありませんでしたが、自分で投資を続けるうちに、わかってきました。

鉱工業生産統計が発表された日に株価が動くことは稀なのです。したがって、投資家たちは鉱工業生産統計に注目しておらず、したがって株価予想屋もそれに関する情報を提供する必要性が乏しく、一層多くの投資家が関心を失い、統計発表日には一層株価が動かなくなる、ということが起きているからです。

一方、景気予想屋は金融政策にはあまり関心を示しません。「金利が0.25%上がったから設備投資を手控える企業が多発して景気が悪化する」などということはないからです。そこに株価予想屋が注力するのは、金融政策で株価が大きく動くからなのです。多くの投資家が金融政策に注目しているため、金融政策で株価が動き、次から一層多くの投資家が金融政策に注目する、というわけですね。

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