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「見込みはほぼない」必要性認める議員も口にするAV新法の厳しい現実…改正に向けて見えてきた高い壁と課題とは

「見込みはほぼない」必要性認める議員も口にするAV新法の厳しい現実…改正に向けて見えてきた高い壁と課題とは

4月24日、衆議院第一議員会館で昨年に続き、AV新法勉強会が開催された。主催は女優・男優など作品に出演する「実演者」の安全確保・権利保護・地位向上を目指して活動を続けている、一般社団法人「映像実演者協議会」。

今回の勉強会では協議会メンバーの他、コメンテーターのひろゆき氏、現役女優の水谷梨明日(みずたに りあす)氏も登壇し、参加した与野党の議員にAV新法の問題点と改正を改めて訴えた。(ライター・蒼樹リュウスケ)

業界の実態にそぐわない問題点が多くの女優・男優を苦しめている

勉強会では、AV新法が実演者を悩ませている点として、業界の実態に合わない「1-4か月ルール問題」「代役不可問題」が取り上げられた。

「1-4か月ルール」とは「契約から撮影まで1か月、撮影から作品の公表まで4か月の猶予期間を確保する」ルールであり、出演の中止や撮影済み作品の取り下げを考慮するための期間として設定されている。

一方、新人・ベテラン関係なく適用される点、メーカーのキャッシュフローの悪化による出演機会の減少および一部の人気出演者へのオファーの集中により、収入が減った実演者の海外売春や無修正ライブチャットへの出演が起こる点が問題視された。

「代役不可問題」は、撮影1か月前に交わした契約は内容変更ができないため、どのような事情があっても出演者の変更ができない問題。

そのため、体調不良やケガなどでも無理をして撮影に参加する出演者が後を絶たず、現場で重大な事故が起こる可能性が指摘された。

この代役不可問題は単に出演者の心身を危険に晒すだけでなく、撮影の中止(バラシ)を増加させるためメーカーの負担が増え、さらなる撮影現場数および出演料の減少につながる可能性がある。

そうなれば必然的に実演者の収入もさらに減るため、その面からも大きな問題と言えるだろう。

そのため、映像実演者協議会としては、この2つのルールに関して条件付きで緩和する改正を求めている。

実演者を守るためAV新法へ新しいルールの明文化の要望も

一方、実演者の権利を守るため、新たにAV新法へのルール追加として要望された問題もある。

それが「二次利用契約問題」だ。

過去の作品を利用した「総集編」は、メーカーにとって売り上げが得られなくなった古い作品で再度収益を上げられる、ありがたい存在と言える。

しかし、総集編の制作・公表に関しては、出演者の意思確認や契約が正しくおこなわれていないのが現状であり、さらに男優には二次利用料の支払い自体がないのも問題点だ。

そこでAV新法に求める改正点として「二次利用作品に関する契約の徹底」「出演者への二次利用料の直接支払い」の明文化が要望された。

AV新法が出演者の権利を守るための法律である以上、問題点を改正するだけでなく、こうした実演者の声を反映させた新たな条文を追加する方向での改正も必要だと言えるだろう。

AV新法の改正は実現するのか?参加した政治家からは厳しい意見も……

勉強会には中道改革連合・有田芳生衆議院議員、国民民主党・足立康史参議院議員、チームみらい・小林修平衆議院議員などが参加。

小林議員は「出演者だけでなく、スタッフなど多くの人間に影響を及ぼす、大きな問題と考えている」と、自らの動画配信サービス会社での勤務経験から得た実感をコメント。

日本維新の会・斎藤アレックス衆議院議員は党内の公務のため欠席したが「出演者の仕事の喪失や制作の萎縮により、海外売春や無修正ライブチャットへの出演など、現場がアングラ化しつつある現状を問題視しており、解決には超党派での連携が不可欠」とのメッセージを寄せた。

また、ひろゆき氏と議員たちのクロストーク中、足立康史議員から「AV新法の成立時、当事者の声を聞いていないという事実は、施行後に知った」との発言があった。

これはAV新法の成立時に「AV人権倫理機構」へヒアリングをおこなった事実が存在することから生じた誤解と考えられるが、そもそもAV人権倫理機構は「AV業界の健全化と出演者の人権保護を目的とした第三者機関」として存在していた組織であり、当事者団体ではない。

こういった誤解をしていたのは、足立議員のみに限らないだろう。

多くの国会議員が誤解しているなか、当事者不在のままでAV新法を成立させてしまった、という現実が見えてくる。

そうである以上、一刻も早く当事者の声を聞きいれた改正を……と求めたくなるのが、業界側としては当然の態度だ。

改正への道のりが険しい背景

ただし、現実的に改正されるのか、という点に関しては、その道は険しいと言わざるを得ない。

足立議員は「政治情勢が非常に難しく、改正の見込みはほとんどない」とも発言した。

国会内でも「業界の実態に即した形で改正すべき」派と「改正するならば現在よりも規制を強化するべき」派のふたつの考え方に分かれており、さらに「新法には触れるな」派も存在するため、どうにも動かしようがないのが現状だという。

また、改正を求める側であるAV業界のAV新法に関する考え方が一枚岩とは言えない点も、大きな問題と言えるだろう。

業界を大きく分ければ、女優・男優などの「実演者」、AVを実際に制作・販売する「メーカー」、女優が所属する「プロダクション」の3つに分類できるのだが、この3つはそれぞれAV新法に対する考え方が異なっている。

さらに各メーカー、各プロダクション、実演者ひとりひとりでも考え方が異なっているため、業界が一枚岩となってAV新法に動くことも難しいのが実情なのだ。

しかも、AV新法の適用の範囲内には、いわゆる「同人AV」も含まれることが、問題をより複雑にしている。

同人AVではAV新法に定められたルールを守って制作している人々がいる一方、ルールを守らず制作をおこない、摘発される例も増えている点が問題だ。

勉強会の出席者からも「ただ単に実演者が安心して出演できる状況を整えるだけでなく、同人AVも含めたAV産業の実態調査をおこない、AV業界の地下化を招いているとされる点を根本から改正してもらいたい」との声も聞かれた。

実演者の大きな不利益になる点は改正するべき

課題が山積みと言えるAV新法だが、実演者にさまざまな不利益をもたらしている以上、改正せずにこのまま放置しておくわけにはいかないだろう。

AV新法の附則に「施行後2年をめどとした見直し」と明記されていることから、見直しをおこなうのは当然だ。

しかし、現状ではたとえ改正の動きが起こったとしても、再び当事者の声が聞かれないままの見直しとなり、改正どころか改悪されてしまう可能性も考えられる。

じっくりと当事者の意見を聞き、AV業界全体の実態を調査して議論を深めつつ、安心して働ける環境が整えられるような改正が必要だ。

少なくともAV新法成立時のような「AV業界憎し」の感情が先に立った、拙速な議論による見直しは避けなければならないだろう。

一般社団法人映像実演者協議会HP:https://actresses-actors.com/

<蒼樹リュウスケ>
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター。

配信元: 弁護士JP

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