弁護士の立場から…筆者自身の売却体験で感じたこと
筆者自身も、かつて築古アパートを所有していました。当初は大家業の経験を積む目的で購入した物件でしたが、独立・結婚・子育てとライフステージが進むなかで「この物件を本当に10年後も持ち続けたいのか?」と疑問を感じ、売却を決断しました。
実際に売却を進めてみて感じたのは、「買うときよりも、売るときのほうがはるかに“準備”が大事」だということ。税務処理・契約の整備・賃借人との関係整理など、やるべきことが多く、弁護士としての知識と経験がなければトラブルになっていたかもしれません。
だからこそ、「感情で売る」のではなく、「戦略と準備」で売却を進めることの重要性を強調したいと思います。
中古アパート経営の出口戦略は、単なる資産の売却ではなく、相続・税務・契約といった複合的な法的リスクが絡む総合戦略です。「そろそろ終わりを考えたい」「家族に迷惑をかけたくない」「できれば円満に整理したい」そうお考えの方こそ、不動産会社、金融機関、各種専門家など、その道のプロに相談しましょう。最後は「これで本当にいいのか?」とちゃんと自問しながら、感情ではなく戦略的に売却方針を固めることをお勧めします。
山村 暢彦
山村法律事務所
弁護士
