男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで...この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
― あの時、彼(彼女)は何を思っていたの...?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:デートは1ヶ月おき、LINEはするけど全然会えない…「忙しい男」の本音とは?
「ごめんなさい。この先、健二くんと一緒にいる未来が描けなくて」
真帆にそう告げられたのは、交際してちょうど1年が経った土曜日の夜だった。最近、たしかに真帆の態度が何か違うことに、薄々勘付いてはいた。でも、僕は見ないようにしていたのかもしれない。
「なんで…?俺、何かした?」
思わずそう聞き返したが、理由を聞くことはできなかった。
真帆は可愛いけれどしっかりしており、一緒にいると安心できた。「この人と結婚したい」と思うのに時間はかからず、お互い結婚を見据えて交際していたはずだ。
このゴールデンウィーク中に、母にも会わせようと思っていたくらい真剣に考えていた。
それなのに、どうして突然真帆は僕に別れを告げたのだろうか…。
真帆とは、共通の友人の紹介で知り合った。
可愛い笑顔と裏腹に、落ち着いた話し方で柔らかい雰囲気を持っていた真帆に、僕は会った瞬間から惹かれてしまった。
「真帆さん、また会いたいので、連絡先を聞いてもいいですか?」
「もちろんです」
こうして食事会の帰り際、連絡先を交換して別れた僕たち。最初の連絡は、翌日に僕からした。
― 健二:昨日はありがとうございました。よかったらまた食事でも。
― 真帆:こちらこそ。ぜひ行きましょう!
シンプルな返事だったが、それで十分だった。
初デートは、全力で準備した。店はSNSで“デートに最高”など徹底的にリサーチをし、予約も当然自分でした。
しかもちょうど真帆の誕生日が近いと聞いていたので、当日は花束を買い、お店の人に頼んで誕生日プレートも用意してもらった。
ディナーの終盤、店が一瞬真っ暗になりケーキが運ばれてくる。
真帆は、最初はまったく気が付いていなかった。
しかしケーキが僕たちのテーブルの上に運ばれてきた時、ようやく気がついたらしい。
「真帆ちゃん、27歳のお誕生日、おめでとう」
「……え?え!?私?嘘でしょ?」
真帆の驚いた顔が、今でも記憶に残っている。そして真帆はとても嬉しそうにしてくれた。
「そう、真帆ちゃんだよ。この前、誕生日が近いっていう話をしていたから」
「覚えていてくれたの…?嬉しくて泣きそうだよ。健二くん、ありがとう」
この日、二人で撮った写真は、今でも大事に僕のスマホのアルバムの中に入っている。
ここから何度か食事へ行くようになったのだけれど、僕なりに頑張ったと思う。
なるべく毎日連絡を欠かさなかったし、会う度に何かしら準備をしていた。サプライズで彼女の好きなアーティストのチケットを取ったり、真帆が「行ってみたい」とふと言った店を予約してみたり…。
なぜなら、最初、真帆は全然こちらになびいてくれなかったからだ。
何度かデートしても、スッと帰っていく。
誕生日のサブライズをした後も、きちんとお礼は言ってくれる。でもそれ以上の関係にはならない。
だから僕は、必死になって追いかけた。
デートの翌日には「昨日は楽しかった、また会いたい」とLINEを送るようにしていたし、真帆が“大切にされている”と感じられるような瞬間を、意識的に作っていた。
その努力が報われたのか、デートを開始してから3ヶ月くらいして、晴れて交際できることになった。
「絶対大切にするし、真剣にこの先のことも考えているから」
そう伝えると、真帆は少しはにかんだ。
「ありがとう。こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します」
今から考えると、あの時が幸せの絶頂だったのだろうか…。
ようやく恋人同士になれた僕たち。自然体でいられて飾らなくていい関係が、とても居心地が良かった。
ちょうど仕事が繁忙期に入り忙しくなったので、タイミングも良かったと思う。
付き合っているのだから、毎日会えなくても何も問題はない。
むしろ、真帆も僕と同じようなタイプだったようで、頻繁に「会いたい」とは言ってこなかった。
そして2週間振りに会えたある日のこと。真帆の家でダラダラしていると、真帆が僕の顔を覗き込んできた。
「最近、健二くんは忙しいの?」
「まあ、ちょっとね。仕事が立て込んでいて」
「そっか。大変だね。でもさ、たまには二人で、外でデートしない?最近お家デートばかりだし」
「そうだよね…。どこか行きたい所あれば、教えて。店、見とくから」
「一緒に行きたい所あれば、リンク送るね」
僕は、外食も好きだけれど、デートなどは意外にインドア派だった。
家でのんびりして、二人で買い物へ行って、ご飯を作ってもらう…という週末に幸せを感じるタイプだ。
ただし、お礼はちゃんと言っていた。
彼女を邪険に扱ったことはないし、大事にしていたと思う。「ありがとう」や「好きだよ」などは言っていたしケンカもほぼしていない。
そして何事もなく、交際して1年が経とうとしていた。僕は今年で29歳、真帆は27歳になる。
― そろそろ、結婚とかだよな。
そう思った僕は、両親に真帆を軽く紹介しておこうと思い、ゴールデンウィーク中に真帆に僕の実家へ遊びにこないか聞いてみた。
「真帆。ゴールデンウィーク中って、忙しい?よければ、実家に来ない?」
「え?それって…」
僕の実家は立川にあるので、日帰りで行ける。
「まぁ、そんな堅苦しい感じではなくて、一応」
「わかった」
「じゃあ実家に伝えておくね」
この時、僕たちの間に明確に“結婚”というふた文字が浮かんでいたと思う。
しかし、ここから真帆は少し態度が変わり始めていたのかもしれない。
家に二人でいる時に、母から電話がかかってきた。
「げ…」
スマホを見ながら、思わずそう言ってしまった自分がいる。母は連絡が多い典型的な過干渉タイプの親で、何より話が長い。
正直、一度電話に出ると相当面倒なタイプだ。
「出ないの?」
そう真帆に言われたので、仕方なく電話に出る。
しかし想像通り、母からの電話の内容は近況報告と、弟のこと、実家の話。そして「真帆ちゃんはどんな子なの?」と矢継ぎ早に話をしてきて、それだけでもうげんなりしてしまう。
隣に真帆もいるし、相当面倒だ。
「わかったから、もういい?今、こっちは忙しいんだよ」
そう言って電話を切った。
「大丈夫?」
真帆がそう聞いてきたので、僕は大きく頷く。
「オカンからだった。年を取れば取るほど、面倒臭さが増していって」
「私が行くことは、もう話したんだよね?」
「うん、それはLINEしといた。真帆のことも、根掘り葉掘り聞こうとしてきたから、適当に流しといた。会った時、面倒だったら適当でいいからね」
「そんなことはできないよ」
苦笑いしながら、真帆はそう言った。
しかしここからしばらくして、真帆から別れを切り出されてしまった僕。
大事にしていたし、両親にも会わせるほど真剣だった。
別れた夜、一人でビールを飲みながら、ここ一年を必死で振り返ってみる。
ケンカした記憶はない。浮気もしていない。仕事が忙しくてすれ違った時期もあったけれど、それは真帆も理解してくれていたはずだ。
それなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろうか…。
▶前回:デートは1ヶ月おき、LINEはするけど全然会えない…「忙しい男」の本音とは?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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両親への挨拶が嫌だった?女の本音とは

