植物との心地よい日々を楽しむ人々を訪ねた&Premium150号(2026年6月号)「花と緑のある暮らし。」より、美術家・maisさんの花と緑と暮らす家を紹介します。


琵琶湖からの風が抜ける家にグリーンがある必然。
100㎡をゆうに超え、天井の高さは5m。コの字のように立っていることもあって、たくさんの開口部がある。美術家のmaisさんが住む家は、琵琶湖から近く、遠くに比叡山が望める開けたエリアにある。開放的でダイナミックな空間だ。
反して、家のそこかしこで育つ植物は、いい意味でほとんど主張をしてこない。数は少なくないし、大ぶりなものもあるのに、なぜ? 窓から入り込んだ風を受け、はにかむように揺れているだけだ。
「表現が適切かわかりませんが、地味めな種類が多いからかもしれません。植物のセレクトショップに出かけなくても、〝そのへん〞の店や道ばたで出合えるようなものばかりで」
タマシダやベンジャミン、モンステラやピレアなど、どれについて尋ねても「ホームセンターで売れ残りを救済したんだったかなぁ……」と判然としない。実は植物の種名も「調べないとわからない」と話すものがあった。でもそれは出合った瞬間、「我が家で一緒に暮らそうよ」とつい手を伸ばしてしまった〝直感〞のほうがよっぽど大切だから。それが「何」で「どこ」で手に入れたかは、maisさんには些事なのだ。
「風がね」と口にする。「この家は窓が多いから、琵琶湖の方からの風が部屋に流れ込んでは、うねるように抜けていくんです。そんな家には植物があるのが自然でしょう」
そうして家主の手招きでやって来た、maisさんにとっての〝名もなき〞グリーン。偶然に鳥に運ばれた種がたまたま落ちた土地で芽を出すように、この家で淡々と育っている。
食べ終えたアボカドの種から育てた鉢ももちろんある。「パーティでもらったブーケの中の一葉や、折れた葉や枝を水に挿しておいたら根が生えた」というのはフィロデンドロンやアイビーなど。シダ系は子株がポロッと外れては鉢の数が増えていっただけ。植物育ては自然、偶然の繰り返し。気負いは、ない。
「同じ地面の上でそれぞれに生活をしていると考えているんです。私はマメではないから、世話を焼きまくることもできない。それに向こう(植物)も『自分自身の力で大きくなるから、構いすぎないで』って思っていそう(笑)。それでもそこにいてくれないと困る存在なんですよね。だって彼らには派手さはなくても、生きようとする静かなパッションがある。それを少し分けてもらうの。お返しに、彼らが我が家でご機嫌に第二章を送れるように、見つめたり、触れたりは忘れません」
庭の樫の木がだいぶ伸びていた。
「鳩のつがいが毎年戻ってきて巣を作るんです。彼らを待っていて、つい切れなくなってしまいました」
植物との関わりは自然のままに。




mais美術家
日本の奥深い伝えを残すため、世に漂う音を源に花や神々、吉祥文様を描き進化させ、社寺の天井画や襖・屏風絵、空間デザインも手がける。
photo : Yoshiko Watanabe edit & text : Marika Nakashima
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Life with Flowers & Greens / 花と緑のある暮らし。&Premium No. 150
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