今週のテーマは「女が三度目のデートで一気に冷めた理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:デートで女性が2軒目を断るとき。アプリで出会った彼女と3回目デートで男がやらかしたこととは
三度目のデートを終え、私は駅と反対方向に歩き始めた。
「え?もう帰るの?」
そう驚いた顔をしている達也のことを、振り返りもせずにスタスタと歩く。
先ほどのデート中に、実はこの界隈で飲んでいそうな友達に連絡をしていた。すると案の定近くで飲んでいるらしく、「美香もおいでよ」と返事が来た。
だから私は迷わず、そっちの友達たちの方へ合流することにしたのだ。
そして私は、三度目のデートでこう思った。
― この男、どっちが本当の姿なの…と。
A1:初デートで誠実さがしっかり見えた点。
達也と出会ったのは、マッチングアプリだった。
アプリは素敵な人が多いが、そんな中でも顔がタイプで、同じ職種のIT系と書いてあった達也。メッセージが来ていたので開くと、なかなか雰囲気も良さそうだ。だから私は返信をし、マッチしてやり取りが始まった。
そしてすぐに、達也が予約してくれていた恵比寿の『アーティショー』で会うことになった。
待ち合わせは店内だったので、案内された席へ行くと、達也は既に到着していた。
「初めまして、美香です」
緊張しながら挨拶をすると、達也も慌てて頭を下げてくれる。
「初めまして、達也です。美香さん、すごい顔小さいですね」
身長は高い方かもしれないけれど、改まって顔が小さいと言われると、照れてしまう。しかし達也は気にしていないのか、座った途端にすぐ別の話を始めた。
「美香さん、お住まい目黒でしたよね?」
「そうです。達也さんは、三宿でしたっけ?」
「はい。職場が渋谷で。美香さんは?」
「私は今、品川です」
私は職業をちゃんと言っていなかったので、自己紹介も兼ねてエンジニアをしていることを伝えてみる。すると、目を輝かせながら前のめりになってきた達也。
「そうなんですね!かっこいいっすね」
「ありがとうございます。達也さんもIT系ですよね?」
「そうなんですよ」
達也は広告営業らしく、職種は全然違う。しかし同じIT系ということもあり話は尽きない。クラシカルだけれども美しくて繊細かつ大胆なお料理を食べながら、私たちの話はどんどん花が咲いていく。
「失礼だったら申し訳ないのですが、美香さんみたいに華やかで話しやすい方がエンジニアって意外です」
全然、失礼ではない。むしろ褒め言葉として受け取らせてもらった。
「私、コツコツとひとりで作業するのが好きなんですよね。だからコミュ力高い営業職の方とか本当に尊敬します」
「いやいや、そっくりそのまま、お言葉お返しします!僕はひとりで細かい作業とかするのが苦手なので、尊敬します」
話している雰囲気などがとても良く、私は「写真よりも、実際の達也のほうがもっと素敵だな」なんて思っていた。
すると、まだ1軒目も終わらないうちから2軒目の提案をしてきてくれた達也。
「この後、まだお時間大丈夫ですか?良ければもう1軒どうですか?」
― これって、私のこと結構アリってことだよね?
思わず目を丸くして達也の顔を見つめると、何か勘違いしたのか、達也は急に焦ってたくさん話し始めた。
「あの、変な意味じゃなくて。すごく楽しいので、もう少し一緒にいられたら嬉しいなと思ったんです。でも本当に、無理しなくて大丈夫なので」
この一生懸命な感じが妙に可愛くて、思わず笑ってしまった。
「私も、まだもう少し一緒にいたいなと思ったので、嬉しいです。ぜひ行きましょう。どこがいいですか?」
「え?いいんですか?」
「もちろんです」
こうして2軒目へ移動した私たち。そこでもとても盛り上がり、次のデートの約束をしてから、解散となった。
A2:デート中にスマホでゲームはありえない。
二度目のデートも盛り上がり、私は幸せな気持ちに包まれていた。
― 達也さん、とっても素敵な人だな…。
そんなことを思いながら、迎えた三度目のデート。やはり三度目となると、何かが動くに違いない。
そんなデートの鉄則を考えながら、私は気合を入れ、達也が行きつけだという三茶にある和食屋さんへと向かう。
行きつけのお店へ連れて行ってくれるという時点で、「真剣に考えてくれている」ということだろう。
その気持ちも嬉しくて、失礼のないようにと気をつけながらお店の扉を開けた。そしてカウンター席に座った私たち。早速達也が店主の方を紹介してくれて、私は頭を下げる。
「こちら、美香さんです。こちら、店主の大輔さん」
「どうも、いらっしゃい」
お店も店主の方も雰囲気が良く、「いいお店ですね」なんて話で盛り上がっていた。
しかし二人で乾杯し、少し料理が進み始めた時、常連の人がやってきた。
「あれ?達也じゃん。何やってんの」
達也とも顔見知りらしく、早速その男性は達也をいじっている。しかし達也も満更でもなさそうで、嬉しそうにその人の茶化しを振り払う。
「いや、見てわかるでしょ(笑)デートですよ」
「へーいいなぁ」
そんな二人の会話を、最初は微笑ましく見ていた。しかし達也は立ち上がり、ビールグラスを持ったまま、その人と立ち話を始めてしまった。
「達也さん、本当に常連なんだね」
そう言うとようやく気がついたのか、慌てて私に詫びてきた達也。
「ごめんね、ほったらかしにして。ここの常連たち、みんな仲良くて」
「そうなんだ。楽しそうで何より」
しかしそう言っても、まだ達也は戻ってこない。
結局手持ち無沙汰になった私は、仕方なくスマホを見る。溜まっていた返信をし、適当にSNSを見ていても、まだ達也は席に戻ってこない。
― デート中の立ち話、長くない?
そう思っていると、ようやく戻ってきた達也。しかし私は、次の達也の行動に思わず二度見してしまった。
「ごめんね」とか「お待たせ」とかもなく、席へ戻ってきたかと思えば、まさかのスマホでゲームを始めたからだ。
― 嘘でしょ?このタイミングでゲームする…?そもそも、デート中にそんなスマホ見る?
男の子だから、ゲームもしたいだろう。ログインしなければならないタイミングだったのかもしれない。それに緊急の連絡が入っていたのかもしれない。
でも今日は、まだ三度目のデート。しかも先ほどまで私のことを放置していた挙句、私には一言もない。さらに堂々とゲームを始め、黙ったままビールを飲んでいる達也のことを、まじまじと見つめてしまった。
「あ…達也さん、飲み物がないみたいなんだけど、何飲む?」
「あぁ、じゃあビールで。ありがと」
そう言ってもまだ、スマホから顔も上げずにゲームを続けている。それを見て、私はむしろショックを受けた。
せめて「ごめん」とか、もしくは仕事ならば「仕事のメールだけ打ってもいい?」とか。言えることはたくさんある。
「達也さん、ゲーム終わった?」
「今ちょうど良い感じ。美香ちゃんは?終わった?」
「私は終わるも何も、ただ達也さんを待っていただけだから」
「そっかそっか」
そして私がさらに驚いたのは、達也の三度目のデートでの豹変っぷりだった。
「で、なんだっけ?」
「何が?」
「何の話をしていた?僕たち」
「んー…特に何も?」
「そっか。じゃあいっか」
そう言ったきり、黙りこくった達也。
― え?このデート、楽しくないの?
「達也さんって、意外に静かなんだね」
「無駄に話すのが嫌いで。だからこうやって、静かに食事ができるの、助かる」
そんなことを言われたら、もう何も言えない。無駄に話すこともできないし、ただひたすら私は黙って食事をするしかなくなってしまう。
でも、最初からこういった態度ならまだわかる。しかしどうしてこの三度目で突然変わったのだろうか。
そう思っていたけれど、食事の途中で気がついた。
きっとこれが、彼の本当の姿だ。
しかも明らかに私が戸惑っている状況で、達也は当然のようにこう言ってきた。
「飲み足りないから、もう1軒行こうよ」
最初の二回は、頑張って無理をしていた。でも本来の彼は食事中にスマホでゲームもするし、ほぼ喋らないし、気も回らない。
自分の軸でしか見ていない。二回目までは、多少私によく見られようと頑張っていたのだろう。ただこれが、彼の真実の姿だ。
― こんな人とこれから交際するのはちょっとキツイな…。
そう思い、私はこのデート限りで達也と付き合うのはやめにした。
そして何より。“付き合うまでに三回はデートする”という本当の意味が、今回で分かった気がする。
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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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