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海外移住で年金・社会保険はどう変わる?リスクと備えをFPが解説

海外移住で年金・社会保険はどう変わる?リスクと備えをFPが解説

複数国拠点による税金の取り扱い 

税金
【画像出典元】「stock.adobe.com/birth7」

ご質問の「3カ国以上の拠点で非居住者になると節税になる」というお話は、国際税務におけるタックス・レジデンス(税務上の居住地)の考え方に関連します。

1)理論上の考え方

日本の税法では、国内に住所または1年以上の居所を持つ個人を居住者とみなし、その人の全世界所得に課税します。一方、非居住者は日本国内で得た所得(国内源泉所得)のみが課税対象です。

タックス・レジデンスはこの仕組みを利用し、どの国においても年間滞在日数を一定(例⇒183日)未満に抑えるなどして、いずれの国でも税務上の居住者と認定されない状況を作り出すことで、税負担を軽減しようという考え方です。

2)4つのリスクと課題

理論的には可能に見えますが、現在の国際的な税務環境では、この方法を実行するのは非常に難しく、大きなリスクが伴います。

実態の重視
各国の税務当局は、滞在日数のような形式的な基準だけでなく、住居の場所、家族の居住地、経済的な利害関係の中心地といった生活の実態を総合的に見て居住地を判断します。

国際的な情報交換
CRS(共通報告基準)により、世界各国の金融機関は口座情報を自動的に各国の税務当局と交換しています。これにより、複数国に資産を分散させても、税務当局は個人の資産状況を容易に把握できる仕組みを作っています。

租税回避への監視強化
近年、国際的な租税回避に対する取り締まりは世界的に強化されており、意図的な非居住者戦略は租税回避と認定され、重い追徴課税を負うリスクがあります。

生活上の不便
居住地が定まらないと、銀行口座の開設や各種契約が困難になるなど、安定した生活基盤を築く上で大きな支障が生じる可能性があります。

結論として、この方法はごく一部の富裕層が専門家のチームに相談しながら慎重に進めるものであり、一般の方が軽い気持ちで実行するのは非常にリスクが高いと言えます。

まとめと成功へのアドバイス

海外移住は、単なる引っ越しではなく、ご自身の社会保障、税制、資産、そしてライフプラン全体に関わることです。検討する上で必要なことを下記にまとめます。

準備期間を設ける
移住先の選定から手続きまで、最低でも2~3年の準備期間を設けることをお勧めします。

目的を明確にする
生活コストの削減、温暖な気候、新たな挑戦など、移住の目的と期間を明確にすることが、最適な国選びの第一歩です。

専門家と連携する
海外移住計画は、国際税務に詳しい税理士など、各分野の専門家と連携しながら進めることが不可欠でしょう。

現地を体験する
可能であれば、移住候補国に短期滞在し、現地の生活環境や文化を肌で感じてみることが、ミスマッチを防ぐ上で非常に有効です。

ご自身の豊かな人生設計のために、ぜひ時間をかけて慎重にご検討ください。

※本稿は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の選択を推奨するものではありません。個別事情により取り扱いが異なるため、最終的な判断は各国の最新制度・条約および専門家の助言に基づきご自身でご決定ください。

配信元: mymo

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