◆勝利の裏に残った“最大の教訓”
そしてドジャースが得た3つ目の副産物が、やはり「トライネンを勝利の方程式に組み込んではいけない」という教訓を得たことではないだろうか。先述した通り、トライネンはシーズン終盤に制球難に陥り、走者をためては痛打される場面が目立った。この試合は四死球こそなかったが、対峙した打者全員に安打を許し、自信も失っているだろう。さすがのロバーツ監督も、今後“勝ちパターン”の試合でトライネンを使うことはないはずだ。
一歩間違えれば、大きな代償を支払うことになっていたロバーツ監督の采配だが、勝利をつかんだことで、結果オーライという形に収まった。この3つの副産物が、ドジャースの2年連続ワールドシリーズ制覇を後押ししてくれるかもしれない。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

