
20代、30代からすると、年金受給は遥か先の話。しかし、年金保険料の支払いをせずに放置していると、自分はもちろん身近な人の財産にまで影響が出ることも……。詳しく見ていきましょう。
夢を叶えて独立→実家へ。忙殺の日々で「無視したもの」
「会社を辞めて、もっと自由に時間を使いたい」
そんな希望を胸に、動画編集・映像制作のフリーランスとして働き始めたCさん(34歳)。「会社員には向かない」という自覚があり、いつかは独立したいと考えていたといいます。
収入が安定するまではと、「月7万円生活費を入れる」と約束をしたうえで、実家に戻ったCさん。仕事のクオリティには自信がありましたが、バックオフィス業務にはまったく関心がありませんでした。
その証拠に、Cさんの部屋には、開封されないままのハガキや封筒が山積みになっていました。
Cさんの父・母は共働きで、Cさん宛に届く郵便物があっても、ただ渡すだけ。日本年金機構からの封筒も含まれていましたが、わざわざ開封するようなことはしませんでした。
「年金か……。今は忙しいし、時間ができたらちゃんと見るから」
そう言いながら、日々の仕事に追われるうちに時間は過ぎていきました。そんなある日、独立から数ヵ月がたった頃、これまでとは違うピンク色の封筒が届きました。
その色味と「年金特別催告状」の文字に、ようやく開封。すると、そこには年金未納による延滞金の記載とともに、財産差し押さえの可能性、さらに連帯納付義務により家族にも影響が及ぶ可能性があることが書かれていました。
「差し押さえ? 嘘だろ、たかが年金で……」
世帯主や配偶者に影響が及ぶ可能性も
国民年金の保険料は年度ごとに改定されますが、令和8年度では月額17,920円。Cさんは未払い分に加えて、放置した期間に応じた延滞金が加算されていました。
会社員時代、社会保険料はすべて給与から自動で引かれていたため、「自分で払わなければ、1円も納められない」という自営業の当たり前のルールが、どこか他人事のように感じられていたというCさん。
また、「年金未納くらいなら、大目に見てくれるだろう」という甘く見る人もいるかもしれません。しかし、令和6年度実績で、財産差し押さえの実施件数は26,797件。決して“脅し”ではないのです。
さらに、世帯主や配偶者には「連帯納付義務」があり、状況によっては財産調査や差し押さえの対象となる可能性もある点にも注意が必要です。
「親に迷惑がかかるかもしれない……!」
Cさんは、その日のうちに年金事務所へ駆け込みました。「払う意思はあります」と誠実に相談した結果、分割納付の計画を立てることで、最悪の事態になる前に対処できたのです。
もし、あなたの手元に国民年金に関する未開封の封筒があるなら、今すぐ中身を確認しましょう。月々約17,000円の支払いを「高い」と感じる時期もあるかもしれません。
しかし、将来の年金額だけではなく、病気や障害、家族に万が一があったときの保障にも関わる問題です。それを放置して失うようなリスクを考えれば、決して高いものではないはずです。
参考資料:日本年金機構「令和6年度業務実績報告書」
