
花の魅力を届ける人・吉原友美さんが伝えたい“花”は、植物を通じて、今の自分の心と向き合う「今日花(こんにちばな)」というあり方。
花を選び、飾ることは、自分と向き合い、今の気持ちを感じ取る行為。季節を通して今日の自分にまっすぐに向き合う手段としての花が「今日花(こんにちばな)」なのだそう。
そんな吉原さんの日常と花のある暮らしを、吉原さんの言葉でお届けします。


森や畑で摘んだ植物を使って、スワッグやブーケをつくるワークショップをときどきしています。
以前、家具職人である友人が所有する北海道の森を訪れたことがあります。その日は、地域の子どもたちも一緒に森へ入りました。ふかふかとやわらかな土。気づけば、裸足になって歩き出す子もいました。土に足をつけ、植物のあいだに自分のからだを置いてみる。 それだけで、普段の生活では使っていない感覚が少しずつ開いていくように感じます。
そんな森の中でつくるスワッグは、いつもとは少し違います。花屋さんには並ばない植物。 名前もわからないし、どんな性質を持っているのかもわからない。森を歩きながら感覚だけを頼りに、枝やツル、葉、小さな花を採取していきます。
子どもたちは、迷いがありません。「これ、かわいい」と、ぱっと集めて、自由に束ねていく。
一方で、大人たちはちょっと苦労している様子。森の植生に詳しい友人に「これってドライになりますかね」と聞いたり、「どれを摘んでいいかわからない」と呆然としたり。

『今日花』では、「きれいにつくろう」「ちゃんとつくろう」はナシ!とお伝えしています。今回のようなワークショップではスワッグをつくる、というよりも、自然のなかに入って植物を見つめるほうが大切。
たくさんの植物に囲まれて、自分はなにを選ぶのか。その選び方のなかに、今の自分の心が見えてくる。植物を通して、「私はどうしたかったのだろう」と、自分自身を少し俯瞰して見つめる。そんな時間を過ごしてもらえたらと思っているからです。
だから、スワッグをつくらなくてもいいのです。ただ森に入る。木々に触れる。植物のそばに身を置いてみる。それだけでも、十分に『今日花』なのだと思います。
植物を摘み、心を見つめる
最初は「なにを採取していいかわからない」と途方に暮れていた大人たちも、森を歩いているうちに、シダやツル、ササの葉、山紫陽花……と、それぞれの手には抱えるほどの植物が集まっていきました。
自然のなかで自由に育った植物をスワッグとして束ねるときのポイントは、それぞれの形をよく見ること。壁に掛けた姿を思い浮かべながら、長さのある植物は背面に沿わせるように平たく重ね、短いものを上に重ねていくと、少しずつ立体的な三角形になっていきます。
私は、シダ系の植物をたっぷりと背面に使ってボリュームを出し、その間に山紫陽花の花を散りばめるようにしてアクセントに。
最後に持ち手の部分を紐でぎゅっと束ねます。足元に白樺の樹皮が落ちていたので、仕上げにくるりと巻いてみました。
もしも森のなかにある植物でスワッグをつくる機会があったら、材料は無限にあります。想像を膨らませて自由につくってみてください。
写真/須賀浩二 編集・文/柳澤智子(柳に風)
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