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「80代で車椅子」になる人の共通点。整形外科医が警告する、薬より大切な「10秒習慣」

「80代で車椅子」になる人の共通点。整形外科医が警告する、薬より大切な「10秒習慣」

身体の痛みを引き起こす原因のほとんどは、普段の「姿勢」や「歩き方」などをはじめ、その人の長年の生活習慣にあると著者は語ります。本記事では、青沼暁典氏の著書『薬や手術は必要なし!腰・膝・股関節痛を治す 自己治療(セルフメンテナンス)』(幻冬舎MC)より、さまざまな身体の痛みを引き起こす「悪い姿勢」と、その改善方法について解説します。

高齢者の身体の痛みは長年の姿勢の悪さのツケ

若い頃は骨がまだ丈夫なため、悪い姿勢や生活習慣で背骨や腰椎に負担がかかっても、骨が変形することは少ないです。しかし、骨同士をつなぎ、クッションの役割を果たしている椎間板は徐々に潰れていきます。ヘルニアや事故などで急に潰れた場合は強い痛みが出ますが、生活習慣の影響で少しずつ潰れていくと、痛みがあまり感じられないことが多いため、気づきにくいのです。

若い世代でも腰痛を訴えて受診する人はいます。その場合、背骨を支える後ろ側の椎間関節に痛みが集中していることが多く、レントゲンを撮ると、椎間板が潰れ始めているのが確認されることが少なくありません。骨が丈夫なうちは、椎間板が潰れてもすぐに腰が曲がるわけではありませんが、本人が気づかないうちに少しずつ背中が丸くなっていきます。例えば、40歳くらいで同窓会に出席すると、周りの人たちが昔に比べて背中が丸くなったと感じることがあるかもしれません。これは、スポーツ選手のように身体を酷使していなくても、悪い姿勢を続けていると誰にでも起こり得ることです。また、痛みがあまり出ないため気づきにくく、「年をとったせいだ」と見過ごしがちです。

一方、70代や80代になると、骨自体がもろくなり、今度は骨が変形して神経を圧迫し、痛みや神経症状が現れることがあります。最終的に、多くの人が80歳を過ぎる頃には背中がひどく丸くなり、杖や車椅子が必要になることがほとんどです。大切な80代、90代の20年間を杖や車椅子で過ごすことになってしまうのはもったいないのではないでしょうか。このように、人はもともと姿勢が悪くなるようにできているので、そのまま何もしなければ、長生きするほど骨や関節に負担が蓄積し壊れていくのは自明の理です。大体70代から80代で腰が曲がってしまって、人生100年とすると最後の5分の1は歩くのにも不自由するつらい人生を送ることになりかねません。

「今の痛みさえとれればそれでいい」と考えていると、ゆくゆく取り返しのつかない状況に陥る恐れがあります。もっと将来を見据え、自分が80歳、90歳になったときにいかにまっすぐ立ち、痛みもなく、元気に好きなことができるか、ということを考えるべきなのです。しかし、多くの人は目先の痛みにしか意識が向かず、痛みがとれればそれでいいと薬に頼ったり、手術を選んだりしがちです。

しかし、それは80歳や90歳になっても元気でいられる最良の解決策ではありません。姿勢の問題を放置すれば、まるでモグラたたきのように痛みがあちこちに現れ、最終的には腰がどんどん曲がり、自分の足で歩けなくなる未来が待っているかもしれません。

最近では、若い世代でも背骨や腰が曲がっている人が増えています。これは、悪い姿勢や生活習慣が子どもの頃から身についてしまっていることが原因と考えられます。

姿勢のチェック&矯正が簡単にできる「壁立ち体操」

人は、姿勢や歩き方にその人固有の癖があります。正しい姿勢づくりを学ぶ前に、まず自分の癖を知る必要があります。自分の姿勢のどこが悪いのかが分からなければ、治すこともできません。

その癖を知るのにとても簡単な方法が「壁立ち体操」です。壁を背に立つと、自然と重心が頭の先から足までまっすぐになります。これがいちばん、腰や膝、股関節をはじめとする全身の関節に、余計な負担がかからない立ち方なのです。立っているときだけでなく、歩いているときにも座っているときにも、重心が前にも後ろにも、また左右にも傾かなければ関節に負担がかからず痛みも起こりません。これがみなに身につけば、整形外科医が今診ている疾患は、ほとんどなくなってしまうのではないかと私は思っています。なお、立っているときには頭からまっすぐ通った重心は最終的にかかとに来ますが、椅子に腰掛けているときには、太もも(大腿部)の中央辺りに来ます。

[図表1]壁立ち体操

壁立ち体操では、[図表1]のように後頭部から、肩、背中、腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、そしてかかとが壁につくようにして立ちます。後頭部が壁についたら顎を軽く引き顔がまっすぐ前を向くようにします。

次に背中全体をぴったりと壁に押し付け、おなかをへこませて腰の後ろの隙間をできる限り狭くなるようにします。次に両肩がぴったり壁につくように肩を後ろに引きます。すると横から見て両肩と両耳を結ぶ線がまっすぐになります。これで上半身は正しい姿勢になっています。

下半身は、両脚がかかとまで壁にぴったり付くようにします。このとき、お尻や太もも、ふくらはぎの筋肉が発達している人や、ふくよかな人はかかとが壁に完全に付かない場合もありますが多少は気にしなくて構いません。脚をできる限り壁に近づければいいのです。ただしかかとに重心が乗っていることを意識するようにします。

このときに大切なのは、身体のどこにどのくらいのきつさを感じるかを自分でじっくり感じることです。きついと感じるのは、それまでが悪い姿勢だったからです。例えば肩が壁に付きにくくきついと感じたら、普段から猫背で肩が身体の前にきているせいです。身体のいろいろな部位のきつさ加減をチェックし、壁立ちでよい姿勢をとっているときの後頭部から背中、腰、お尻、足の位置を身体に覚えこませたら、2、3歩前へ歩き壁から離れます。このとき、壁立ちしたときの姿勢を崩さないように意識します。

これを毎日繰り返すことによって、良い姿勢が自然にできるようになっていきます。慣れると、これがとても楽な姿勢であると感じるようになってきます。

行う場所を決めておき、毎朝必ず行うようにすると、この姿勢づくりが習慣化しやすくなります。1回につき最低10秒間、時間があればもっと長くしてください。私自身も朝だけでなく診療の合間など気づいたときに行うようにし、それを数十年続けています。

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