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「湿布を貼るだけ」は一生治らない…整形外科に通い続けても「腰や膝の痛み」が消えないワケ

「湿布を貼るだけ」は一生治らない…整形外科に通い続けても「腰や膝の痛み」が消えないワケ

40代から現れ始めるのが、慢性的な腰・膝・股関節痛。湿布やマッサージなどの一時的な緩和ケアで済ませていると、この先、一生の付き合いになることも……。本記事では、青沼暁典氏の著書『薬や手術は必要なし!腰・膝・股関節痛を治す 自己治療(セルフメンテナンス)』(幻冬舎MC)より、慢性化しがちな「関節痛」と正しく向き合うための心得について解説します。

痛みは身体からのメッセージ

腰や膝の関節に違和感や痛みを感じたとき、どのタイミングで医療機関を受診するかは大事な問題です。関節がちょっと痛むけれど安静にしていれば良くなるだろうと思い、治療を後回しにしてしまうようなこともありがちです。とりわけ高齢になるにつれ、痛みぐらいで病院に行くのは大げさだと考えたり、少しくらいの痛みは我慢したりしてしまう傾向が強くなります。我慢できないほどの痛みが出て、ようやく病院を訪れるという人は、残念ながら少なくありません。

医師としていえるのは、膝や関節に生じた痛みや違和感を、軽く考えてはいけないということです。例えば「腰が張っている」と感じたり、身体をひねると左右どちらかの腰部が痛むという症状があったりすると、たいがいの人は「昨夜の寝方が悪かったかな」と思うくらいかもしれません。しかし、どうもおかしいと感じ、その「おかしい」が数日続くようなら、原因は寝相のせいではないと考えるのが医学的には自然です。

関節痛も同じです。腰や膝、関節に起こる痛みは、〝身体からのSOS〞だと考えてください。がんのような進行性の疾病なら、身体が出しているSOSを受け流していたら取り返しのつかないことになります。では、足腰のしびれや痛みならどうかといえば、痛みを身体からのSOSと思うのであれば、放置するわけにはいきません。足腰や関節に痛みが生じ、その痛みが続くようであれば、自分の身体のなかで何が起きているかを探ってほしいと思います。

また、自分の身体だからこそ、いたわってやってほしいというのが私の願いでもあります。自分の身体をいたわる第一歩が、痛みや不調を感じたとき、でき得る限り早い段階で医療機関を受診することです。

痛みをとる治療だけでは、一生完治しない

足腰が痛くなるとたいていの人はまず、湿布をしたりゲルやクリーム状の鎮痛薬を塗ってみたりすると思います。鎮痛薬をのむ人もいるかもしれません。私の医院にも、腰痛や膝痛、股関節痛を訴える患者さんが、痛み止めの湿布やのみ薬を求めて日々大勢受診に来ます。

しかし、関節痛は薬頼みでは完治しません。薬はあくまで表に出ている症状をなくす対症療法にすぎないからです。痛み止めの薬を処方しても、その作用が切れれば再び痛くなり、いつまで経っても完治せず、痛みを繰り返しては医者通いに明け暮れることになってしまいます。

表面に出ている痛みを一時的に抑えて、また痛みが出たら受診してくださいでは、患者さんは通院したりしなかったりを繰り返すだけになります。痛みを治してほしいのに、痛んだらまた来てくださいでは患者さんが困ってしまいます。

こうなってしまうのも、表に出ている症状をとることばかりに主眼がおかれ、どうしてその症状が起こっているかの原因にまで踏み込んだ治療がなされていないからだと考えます。こんにちの整形外科医療では、それが治療であるとされていますが、私は疑問を持っています。原因を理解せず完治しないのに治療をしたとはいえないからです。

私のところに来る患者さんの中には、別の整形外科に通っていた方も多いです。そこで私は「前の先生は、肩こり腰痛の原因について何とおっしゃっていましたか?」と尋ねるのですが、患者さんは「さあ、よく分かりません」と答えることがよくあります。痛み止めの薬だけをもらい、原因については説明されていないと言うのです。

同様に、「肩こりや腰痛を防ぐ方法について教えてもらいましたか?」と聞いても、「それも聞いていません」という答えが返ってきます。

もちろん、今つらくてたまらない症状をとることも治療の一つであることに違いありません。しかし、患部が二度と痛まないようにしてはじめて完治に導けるのであり、それが「治療」の本質ではないかと思うのです。

私は「痛くなったらまた来てください」と患者さんに言うことはありません。肩が凝っているだけでなく腰も痛むようであれば、肩が凝らず腰が痛くならない生活を目指すほうがよいと思うので、私は肩こりの原因について詳しく説明し、それに対する対策をきちんとお伝えします。

痛みをとるための薬は必要最小限で十分だと考えています。肩腰が痛いからといって、注射を打ったり薬を出したりするだけで「これで様子を見ましょう」と言っても、痛みの原因やその予防法が分からないままでは、また痛みが出てしまうのは時間の問題です。そして、そのたびに痛みをとる治療だけをするのは、患者さんにとっても医療者にとっても時間の無駄だと思います。そんなことに終始するくらいなら、痛みが二度と出ないような予防に努めるほうが比較にならないほど有意義です。

このことが分かっていない医療機関にどんなに長く通っても、完治は見込めません。それどころか、もっと深刻な状態を招く恐れもあります。痛みを薬でごまかしているうちに、症状がもっと悪くなっていく可能性もあるからです。私の医院に来る患者さんの中にも、いつの間にか腰が曲がって杖なしでは歩けなくなった、と初診時に訴える人がよくいます。

患者さん本人は痛みを放置していたわけではなく、まめに整形外科を受診し治療してもらっていたつもりだったのに、どんどん足腰が衰えていき、いつのまにか要介護状態に近づいていたという落とし穴にはまってしまうケースがよくあるのです。腰や膝、股関節の痛みを早く治し、要介護にならないようにと通院していたのに裏目に出てしまうのでは、泣くに泣けません。

すると、患者さんは関節の痛みや不自由な生活とずっと付き合っていかなければならないのでしょうか。足腰の衰えが原因で、晩年を寝たきりや介護を受けて過ごさざるを得なくなり、多くの喜びや楽しみをあきらめ、生活水準の低下を受け入れなければならないのでしょうか。

そんなことはない――と、私は声を大にして言いたいと思います。

加齢や身体の酷使に伴う骨の変形や、腰や膝、股関節になんらかの不調が現れるのを予防し、治すことは可能です。関節痛の兆しは早くて20代からみられます。症状が出るのが早い人は、人生の大半をこれらの痛みに悩まされるわけです。

投薬による治療を否定するつもりはありませんが、薬は一時的に痛みを封じ込めているにすぎません。薬で痛みを抑える、しばらくするとまた再発する……の繰り返しでは、根本的な解決に至っていません。私たち整形外科医に求められているのは、関節痛が治まったら、もう痛みがぶり返すことのない治療です。

私たちの身体には〝自然治癒力〞という力が備わっています。薬に頼らなくても、自分の力で病気やけがを治す能力です。関節痛も、この自然治癒力で治すことができます。正しい身体の使い方を知り、生活の工夫をし、あるいは運動療法やリハビリテーションなどの保存的治療と並行して、私たちが生まれながらに持っている自然治癒力をうまく引き出すことができれば、私たちは自分の力で関節痛を治すことができるのです。

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