大阪・守口市の公園で「お金ちょうだい」といった要求を断られたことから、見ず知らずの84歳の女性に対し、羽交い締め、引きずるなどして現金およそ8万円を奪ったとして、15歳から17歳の少年少女4人が強盗の疑いで今月12日に逮捕された。
報道によれば、少年は「遊ぶ金欲しさにおばあちゃんからお金をもらおうとしたが断られたので、4人で相談して無理やり奪い取ることにした」などと供述しているという。また、現場近くにいた男性が一度女性を助けたものの、男性がいなくなると4人は再び女性に対し暴行を加えたという。
加害を行った4人は少年法に基づき原則として保護処分となる年齢である。しかし、高齢者に対する集団的な加害ということもあって、この事件に対しては「よくこんな行為が出来るな」「どういう教育をしたらこんな子に育つのか」と保護よりも刑罰を求める声が多く上がった。
一方で、少年事件にも多く対応する雨宮知希弁護士は、今回逮捕された4人には大人と同様の“刑事処分”が下される可能性もあると指摘する。
強盗事件における「逆送」とは
14歳以上20歳未満の少年が起こした刑事事件は、原則として検察官がすべて家庭裁判所に送致し、家庭裁判所の「少年審判」を通じて処遇(保護処分)が判断される。
しかし家庭裁判所が「刑事処分が相当」と判断すれば、事件が検察官に戻される(逆送・検察官送致)。その後、検察官が「起訴」すれば、大人と同様の刑事裁判にかけられ判決が下されることになる。
少年法では、16歳以上が「故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた事件」は原則として逆送の対象とされているが、雨宮弁護士は「被害者が死亡していない事件でも逆送されるケースはあり得る」として次のように説明する。
「特に強盗事件は、法定刑が重く、暴力性・反社会性の高い重大犯罪と位置づけられています。そのため、被害者の死亡という結果がなくても、事情を総合的にみて、保護処分では不十分と判断されれば、逆送される可能性があります」
家庭裁判所が逆送の判断を下す際に重視する“事情”について、雨宮弁護士は以下のように一例を挙げ、「今回報じられている事情には、逆送を検討する上で重く評価され得る要素が複数含まれている」と指摘する。
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逆送判断で重視される事情
- 被害者に対する暴行・脅迫の程度
- 犯行が偶発的か計画的か
- 被害者が高齢者など弱い立場だったか
- 共犯内で主導的役割を果たしたか
- 前科・前歴や非行歴の有無
- 反省状況や更生環境、再非行のおそれ など
今回の事件、全員が「逆送」される?
「まず、被害者が84歳の高齢女性である点は重要です。高齢者は身体的に抵抗能力が弱く、転倒や負傷による重大結果にもつながりやすいため、裁判所は『弱者に対する犯行』として悪質性を強く見る傾向があります。
次に、羽交い締め、引きずる、4人で取り囲むといった態様は、単なる窃盗ではなく、身体への有形力行使を伴う典型的な強盗行為として評価されます。特に集団での犯行は、被害者に強い恐怖を与えやすく、犯行抑制も働きにくいため、悪質性を高める事情になり得ます。
さらに、『相談したうえで犯行に及んだ』という供述が事実であれば、偶発的犯行ではなく、一定の計画性・意思決定があったと評価される可能性があります。家庭裁判所では、衝動的非行か、計画的・組織的非行かは重要な判断材料です」(雨宮弁護士)
一方で今回逮捕された少年らの年齢は15歳から17歳と幅がある。この年齢の違いは、処分の判断に影響を与える可能性があるのだろうか。
雨宮弁護士によれば、17歳と16歳では、刑事責任能力を前提に比較的厳格に見られやすく、重大事件では逆送対象となる現実的可能性がある一方、15歳では「教育的・保護的措置による更生可能性が重視されやすい」という。
「同じ事件でも役割や関与程度によって処分が分かれることは十分あり得ます。
具体的には、犯行を主導した者や実際に暴行を加えた者、犯意の形成に積極的だった者については、逆送の方向に判断が傾きやすく、逆に、追随的立場・消極的関与にとどまった、深く反省している、良好な監護環境を確保できるなどの事情が認められれば、少年院送致など保護処分にとどまる可能性があります。
したがって、今回の事件では『4人全員が一律に逆送される』というより、各少年ごとの年齢・役割・関与態様・更生可能性を個別に判断したうえで結論が分かれる可能性が高いでしょう」(雨宮弁護士)
本人らにとっては「お金が手に入ればいい」という安易な“ノリ”だったのかもしれない。しかし、突きつけられた現実は「高齢者を狙った集団強盗」という重大な犯罪だ。個人の責任を問われる現実を、彼らは今どう受け止めているのだろうか。

