
体力が減ったり、家族構成が変わったり、今までと違う自分を感じたら― 。
そんな自分に合う「らしさ」を大切にして、家と暮らしを考えてみませんか?
同世代のさまざまな暮らしぶりを紹介します。
今回お宅を拝見したのは・・・
一級建築士
相原まどかさん
YUUA代表取締役。洗練されたモダンな新築から古民家改修まで、場所の個性を活かす設計に定評がある。「Architizer A+Awards」(24年)のファイナリストなど受賞歴多数。
築100 年の古民家を再生。
仕事とプライベートがゆるやかに溶け合う職住一体の暮らし

建築家の相原まどかさんが暮らすのは、都内の築約100年の元和菓子屋。
約12年前に購入し、自宅兼仕事場としてリノベーションしました。
「当時は新築も検討しましたが、限られた資金では狭小住宅という選択肢しかなくて。そんなとき、古い家を残したいという元家主さんの思いが詰まったこの建物に出合いました。リノベーションは、ドラマチックにガラリと変えることもできましたが、あえて、100年前の風情と美しさを取り戻す方向で施しました」
現在は、パートナーと暮らし、常時4、5人の多国籍なスタッフが集います。昼時は、仕事用のテーブルを片付けてランチ。大きな造作キッチンは、パーティタイムにみんなでワイワイ料理をするときにも大活躍しているそう。
「職住一体の良さは、時間を節約しつつ、区切りを自分なりに設けられること。もし事務所が別だったら、私は家に帰れなくなるほど仕事に没頭してしまうと思うんです。
今は通勤時間を削ることで、仕事は200%全力でがんばりつつ、夜はみんなで食事をしたり、多国籍な料理を作ったりと、私生活も存分に楽しめています。それがいい仕事をするための、私なりのバランスなんです」
最後に、住み替えを考える人へのアドバイスを伺いました。
「『絶対に何区』とか『何LDK必要』といった枠を外して、直感的に、好きと思えるものを選んでみてほしいです。限界を作らず、自分らしい居場所を磨き続けていく。その過程にこそ、第2の人生をおもしろくするヒントが隠されていると思います」
造作キッチンは昔ながらの人研ぎ仕上げ
「この家にはピカピカしたステンレスが合わないので、昔ながらの人研ぎ仕上げにしました」と相原さん。
大勢でも料理しやすいアイランド型でテーブルも兼ねている。
ひとりのときもここで食事を。
造作の引き出しで収納もたっぷり。
仕事でもプライベートでも集いの場になる土間
入口を入ってすぐ、天井高4m、約15 畳の土間。
壁には断熱材、床暖房を入れてあるので冬でも暖かい。
ウォールナットの幅はぎ材でオーダーした大きなテーブルに、ハンス・J・ウェグナーのチェアでモダンに。
印象的な照明はアパラタスのもの。
ジャパンディな雰囲気で心がほどける
ミニマルに整えた2階のプライベート空間。ハンス・J・ウェグナーのソファが静謐な美しさをプラス。
もとは畳だった床は、桐の無垢材でフローリングに。
電気のスイッチも100 年前の丸型を残し、それに合わせて真鍮のものを設置した。
普段はモダンな建築を手がけることが多い相原さん。この自宅兼仕事場にしたことで
「古民家のアレンジもできるんですよ、とデザインの幅や柔軟性のさりげないアピールにも」
photograph: Sachie Abiko text: Mika Miyoshi
大人のおしゃれ手帖2026年5月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

