ルイ・ヴィトンの2026年春夏コレクションショーのゲストリストよりも素晴らしいもの？ それはコレクションそのものだ。
ルイ・ヴィトンのウィメンズ・コレクションのアーティスティック・ディレクターを務めるニコラ・ジェスキエールは2025年9月30日（現地時間）、パリで最新作を発表した。
パリは“4大ファッションウィーク”の中で最もセレブが集まる都市だが、それでもルイ・ヴィトンのゲストリストは別次元だった。この日、世界的に有名なスターたちが、このラグジュアリーブランドの 2026 年春夏コレクションのショーのためにルーブル美術館に集結した。その中には、ゼンデイヤ、BLACKPINKのリサ、ソフィー・ターナー、アナ・デ・アルマス、エマ・ストーン、ジェニファー・コネリー、レア・セドゥらがいた。
彼女たちが、ニコラ・ジェスキエールによる傑出したデザインの数々をまとって登場したことは、それ自体が“ファッションウィークのハイライト”であり、特にゼンデイヤが珍しく姿を見せたこと（ネットを騒がせたジェシカ・マコーマックのダイヤモンドの婚約指輪を身につけて）は、大きな興奮を巻き起こした。しかし何よりも大きな話題となったのは、会場の中で繰り広げられた出来事だった。
まず、注目を集めた理由はショーの会場が極めて限定的な場所だったことにある。ルイ・ヴィトンは2026年春夏コレクションのために、ルーブル美術館内にある、かつてフランス王妃（ルイ13世の妻）でありルイ14世の母であるアンヌ・ドートリッシュが住んでいたアパルトマン（夏の住居だった）を貸し切った。そこは想像通り、壮麗で金箔（きんぱく）が施され、大理石が輝いており、天井には華麗な絵画や彫刻が飾られていた。
既存の豪華さにさらに彩りを添えるべく、舞台美術家兼デザイナーのマリー＝アンヌ・デルヴィールが空間の装飾を担当した。彼女は様々な時代の家具や美術品を用いて彩り、プレスリリースによれば「18世紀から現代に至るフランスのテイストを味わえる没入体験」を提供した。
この印象的な背景に対して、ニコラ・ジェスキエールのオープニングルックは、ほとんど装飾を排した石のような色合いの超モダンなデザインで、より一層際立っていた。半透明でドレープが利いた柔らかく流れるような素材も同様で、ショーに軽やかで幻想的な雰囲気をもたらした。
しかし、マキシマリスト向けの要素も豊富に用意されていた。ショーが進むにつれ、コレクションはよりドラマチックで大胆に、刺しゅうが施されたものへと変化していった。特に目を引いたのは、フリル付きのペプラム裾と映画『あの頃ペニー・レインと』（2000年）を思わせるラムウールの襟を備えた、クリスタルをちりばめたジャケット、非対称のバブル裾と特大の襟が特徴のパリッとしたシャツドレス、ブルーのデニムを合わせたカラフルな花柄レースのトップス、そして春の風景を精巧なビーズのフリンジで繊細に表現したドレスなどだった。
いつものようにアクセサリーも大きな見どころで、ゴールドチェーンのウエストベルト兼ウォッチや新たなスタイルのスニーカー「Sneakerina」から、クラシックなバッグを新たなパターンで再解釈したもの、さらに発売されたばかりのルイ・ヴィトンのメイクアップライン「ラ・ボーテ ルイ・ヴィトン」専用の収納コンパートメントが付いたクラッチバッグまで多岐にわたっている。
translation & adaptation: Akiko Eguchi
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