◆3.高齢期:お口の周囲筋の筋力低下、誤嚥性肺炎に要注意

食べこぼしが多くなった、食事中によくむせる、硬いものが噛みづらい、ついつい小さく切って食べてしまうことはありませんか?お口の機能が低下しているサインかもしれません。
お口機能の低下を感じたら、早く食べないように、一口食べたら箸をおく、飲み物をこまめに摂取しながら食べるといった工夫をしましょう。
また、お口のトレーニングを行うことも大切です。
あいうべ体操:
「あー」「いー」「うー」「べー」と大きく口を動かします。各音をゆっくりと発音し、口を大きく動かして筋肉の動きを意識しましょう。各音を5秒かけて発音し、10回程度繰り返します。
風船トレーニング:
風船を膨らませることで、お口の周りを囲んでいる口輪筋を鍛えます。
舌回し:
口を閉じた状態で、舌で歯の表面をなぞるようにゆっくりと回します。各音を5秒かけて発音し、10回程度繰り返します。
リップトレーニング:
唇を突き出す、すぼめるなどの運動を繰り返します。5秒間行い、10回程度繰り返します。
頬トレーニング:
頬を膨らませたりしぼませたりします。5秒間行い、10回程度繰り返します。

歯周病は、肺炎だけでなく糖尿病や心血管疾患など様々な全身疾患と関連があるため、歯周病を予防することで全身の健康を守ることにも繋がります。
◆予防ポイントを押さえて生涯健康なお口で
どの年代でもセルフケアを丁寧に行い、歯科医院での定期検診を受けることで、お口のトラブルを予防できるということに変わりはありません。今日から実践して今ある歯を大切にしましょう。生涯にわたって、健康にお口からご飯が美味しく食べられると良いですね。<文/野尻真里>
【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari

