◆凶器を持った橋本被告と対峙した68歳の義父

「あなたは何か格闘技をやっていたのか?」
「何もやっていません」
「日頃から運動しているとか?」
「たまにゴルフに行くぐらいです」
「よく取り押さえましたね」
「娘と孫を守ろうと、とにかく必死でした」
孫とは6歳になる橋本被告の長男だが、橋本被告が入ってきた瞬間にリビングに隠れ、見つからないようにしていたという。
「息子は“父親”が入ってきたとは思っていなくて、『また泥棒が来たらどうしよう』と心配していましたが、『いつか大きくなったとき、また泥棒が来たら、僕が守るからね』と言っています。息子には事件の詳細は話していません」(元妻の証言)
10月2日、大津地裁の畑口泰成裁判長は「離婚や元妻から名誉棄損で告訴されたことなどによる逆恨み的な犯行。一貫した目的に沿っていて、衝動的に犯行に及んだものではない。深刻な精神障害は見当たらない」として、懲役5年を言い渡した。起訴事実を否認し、最終意見陳述でも「釈放されるべきだ」と述べていた橋本被告の心中やいかに。
<取材・文/諸岡宏樹>
【諸岡宏樹】
ノンフィクションライター。1969年生まれ。三重県出身。週刊各誌で執筆。著書に『実録 性犯罪ファイル 猟奇事件編』『実録 女の性犯罪事件簿』。別名義でマンガ原作も多数手がける

