いつまでも輝く女性に ranune
「水害列島」日本の正体。気象災害は50年で5倍に増加…1500年の“水害史”と気象変動の真実

「水害列島」日本の正体。気象災害は50年で5倍に増加…1500年の“水害史”と気象変動の真実

◆異常気象は本当に「異常」か?

 近年、地球の平均気温の上昇、北極海の海氷面積の減少、グリーンランドや南極の氷柱の融解、そして海面上昇などが報道されている。世界各地で、熱波、干ばつ、豪雨などの異常気象が起こり、それに伴う自然災害が拡大していると言われている。

 これらの異常気象を引き起こしている原因として、地球温暖化が指摘されている。

 そして、地球温暖化の原因は、18世紀半ばからはじまる産業革命以降、人間が大量に排出した二酸化炭素だと言われている。

 確かに20世紀以降、地球の平均気温は1度ほど上がり、過去100年間で大気に含まれる二酸化炭素の濃度は280ppm(ppmは100万分の1、体積比)から380ppmへ上昇した。二酸化炭素が「温室効果」をもたらすことは事実である。

 しかし、じつは、二酸化炭素がもたらす地球温暖化への影響度は、研究者によって「9割」から「1割」まで、意見が大きく分かれている。また、太陽活動が活発な周期に入ったため、これから寒冷化に向かうと予測する地球科学者もいる。

◆気象現象は地球全体の視座で考えよう

 気象現象というのは日本という地域だけで見ることはできない。太陽エネルギーによる水蒸気の循環や、自転による風(季節風)、海流と海水の循環、炭素の循環など、地球全体の環境が関わっている。太陽活動の周期や山火事の多発による二酸化炭素排出増、森林の消滅などの要素もある。

 自然界では元来、ありとあらゆることが、変動することによって均衡を保っている。自然界、ひいては地球の歴史においては、「不可逆性」(ふかぎゃくせい/二度と同じ状態に戻らないこと)という摂理が保たれてきた。

「異常」というのは、あくまで人間が持つスケールが生む感覚である。地球のスケール、地球科学者の「目」からすると、人間に都合が悪いから異常と見なし、勝手にそうしたレッテル貼りをしているように映る。

 地球のどこかで高温による干ばつが起これば、ほかの地域では洪水が起こるという現象は、地球がバランスを取ろうとしていることを示している。異常高温となる地域があれば、別の地域で異常低温が生じることも同様である。

 たとえば雨についても、地球全体としての降水量はほぼ一定で、海が誕生してから40億年の間に地球が保っている水の総量はほとんど変わっていない。地球の立場に立てば、いっとき大雨が降る地方が現れたり、干ばつになる地方が現れたりすることは異常ではなく、よく起きている変化に過ぎない。すなわち、ある災害が個々の地域に被害を及ぼすことがあっても、それが地球全体への害悪になるとは簡単には言えないのだ。

 もちろん、ヒトの被害は少ないほうがよい。地球規模にとっては小さな現象が、そこで営々と生活を築き上げてきた人々に多大な影響を与え、人命に関わる事態を生じさせていることも事実であり重要な問題なのだ。

 現在の地球は、南極やグリーンランドの極地に厚い氷床が存在するため、地質学的には「氷河時代」に区分され、氷河時代の中でも氷期と氷期の間の比較的温暖な「間氷期」にある。地球史をこうした長い時間軸で眺めると、現在の大気中の二酸化炭素濃度は、寒冷期にあたる非常に低い水準と言えよう。したがって、いま世界中で問題にされている地球温暖化も、こうした「長尺(ちょうじゃく)の目」で見ると、氷期に向かう途上での一時的な温暖化とも解釈できるのである。

 もともと地球環境は不安定なもので、絶えず変動するのが本来の姿である。人類が未来の持続的社会を考える際には、こうした視座を持ってほしいと考えている。

<文/鎌田浩毅 構成/高橋香澄>

配信元: 日刊SPA!

提供元

プロフィール画像

日刊SPA!

日刊SPA!は、扶桑社から発行する週刊誌「週刊SPA!」が運営するニュースサイトです。雑誌との連動はもちろん、Webオリジナルの記事を毎日配信中です。ビジネスマンが気になる情報を網羅!エンタメ・ライフ・仕事・恋愛・お金・カーライフ…。ビジネスタイム、プライベートタイムで話したくなる話題が充実!

あなたにおすすめ